2011年度、ミズノの契約プロであるルーク・ドナルドは、欧州ツアーと米PGAツアーの両ツアーで賞金王を獲得。ツアー史上初となる快挙を成し遂げた。身長175cm、体重75kgという平均的な日本人と変わらない体型のルークは、パワーで他の選手を圧倒するタイプではない。彼を世界ナンバーワンの選手に至らしめたのは、比類なきアイアンの正確性と、超絶なまでのショートゲームの巧みさだ。
ルーク・ドナルドは、戦うためのギアとしてミズノの鍛造アイアンとウェッジに全幅の信頼を寄せている。自分に感性どおりに球筋を打ち分けられる性能と形状の美しさに惹かれ、長年ミズノのMPシリーズを使い続けており、当初はマッスルバックの「MP-32」、2008年度からはデュアルマッスルの「MP-62」、そして今年からはチタンがコンポジットされた最新モデル「MP-59」を使用している。
ルークは自身がジュニアゴルファーだった頃、ニック・ファルドやセベ・バレステロスのプレーに憧れ、同時に彼らが使っているミズノの鍛造アイアンを、いつかは自分も使いたいと思っていたのだという。
現在は契約プロである彼にとっても、ミズノは昔からの憧れであったのだ。
GDOのスタイルゴルファーに選ばれた2人が、2年連続で賞品としてミズノのMPを選んだのも同じ理由からだ。ゴルフに対して真摯に取り組むゴルファーにとって、アイアンは「いつかはミズノ、いつかはMP」なのだ。
ミズノのアイアンは、ゴルファー個人のスイングに合わせてカスタムフィッティングできるのも大きな魅力。
昨年度の菅原さんと同じように、今年度受賞者の上條さんもフィッティングのために東京のお茶の水にある「エスポートミズノ」を訪れた。フィッティングを担当するのは、ミズノのマスターフィッターを務める清水さん。百戦錬磨のカリスマフィッターだ。
まずは、地面から中指にナックルまでの長さを測定し、基準となる6番アイアンの体格上の長さを0.25インチ刻みで割り出します。
上條さんの長さの目安は、平均的な37.25インチ。
シャフトオプティマイザーという計測器を使って、上條さんのスイングを診断。
この装置で、ヘッドスピード、スイングテンポ、シャフトのトゥダウン量、前反り角、しなり係数の5項目を測定することができ、上條さんのスイングタイプ「スイングDNA」が判定される。
これによってシャフトの硬さ、重さと種類の候補が絞られる。
適正ライ角のフィッティング。ソールに感圧式のシールを貼り、インパクト時にソールのどこが地面と接しているかを見極める。アイアンのライ角は、ボールの曲がり具合やクラブの抜けに大きな影響を与える要素。
ソールの中央に擦れた後が付いていればオッケーだが、上條さんの場合は標準のライ角ではフラットすぎてトゥ寄りにしか跡が付かなかった。
ライ角の異なるクラブを試打した結果、上條さんの適正ライ角は概ね64度だと分かった。ほぼ適正ライ角のアイアンで試打すると、フェースのセンターでボールをヒットできるようになり、弾道もまっすぐになった!
適正ライ角と適正シャフトが分かったところで、弾道計測器を使った適正クラブでの実測が行われる。
上條さんは脚が長く、アドレス時の前傾が深いのをフィッターの清水さんが指摘。
シャフトを少し長くしたほうがいいのでは、との判断でシャフト長を標準よりも0.25インチ長くすることに。
すると、明らかに試打結果も良くなった。(結果的にシャフトを長くしたことでライ角は少しアップライトになり、最終63.5度を提案)
「ここまで細かくフィッティングしてくれるとは、驚きました!」と上條さん。
最後にグリップの種類と太さを決定し、希望であればアイアンヘッドの仕上げを指定する。刻印の変更、その文字色の変更、モデルによってメッキにするかクロムにするかも指定可能。
これによって、見た目も自分好みのアイアンに仕上げられる。
上條さんは、文字の色を変更し、ネックには自分の名前を刻印してもらうことに。
あとは、完成するのを楽しみに待つだけ。
世界にひとつだけの、自分のためのカスタムアイアンが手に入る!
「念願のミズノアイアンをこの手にできて、本当に嬉しいです。
ライ角だけでなく、シャフト長も自分に合ったもので、刻印も自分の好みのカラーでオーダーさせていただきました。また、オウンネームも入れさせていただいたんです。この世にたった1つの私だけのカスタムモデル。早く打ちにに行きたくてウズウズしています。」
ミズノのMPアイアンは、日本のみならず海外でも大人気だ。“フォージド”はミズノの代名詞であり、性能はもちろん、形状の美しさ、打感の良さ、質の高さが、多くのゴルファーを魅了してやまない。米国のクラブのレーティング企画「HOT LIST」においてMPアイアンはゴールドメダリストの常連でもあり、今年から始まった「HOT LIST日本版 by GDO」でも最新モデルの「MP-69」がゴールドメダルを獲得している。
これほどまでに評価が高いのは、日本のミズノが世界一とも言える鍛造技術とクラフトマンの技を持っているからこそ。フィッティングしたカスタムアイアンは、岐阜にあるミズノの養老工場でオーダーどおりに1本1本が丁寧に製作される。
1つのアイアンを製作するのに、およそ30名のクラフトマンの手を経て、その工程の細かさを挙げればキリがないほど。そこには、妥協のない「YORO JAPAN」のモノ作りの精神がある。
スタイルゴルファー受賞者の菅原さんと上條さんの二人は、そんな「YORO JAPAN」のファンでもある。
上條さん「菅原さんは、昨年度にミズノのMP-53アイアンを選ばれましたが、その経緯はどんなものだったんですか?」
菅原さん「私はゴルフを始めたときから、ずっとミズノの軟鉄鍛造アイアンを使いたいと思っていたんです。打感もいいし、外観もアスリートっぽくてカッコいいので。
けれど、もう少し自分が上達するまで待とうと思って、ずっと我慢していたんですよ。最近はスコアも安定してきましたし、昨年の受賞をきっかけに、そろそろいいかと思って(笑)。ギア好きのゴルファー仲間にMPアイアンを勧められたのもありますね」
上條さん「私もずっとMPアイアンを使いたいと思い続けていました。昔、タイガー・ウッズに憧れて、彼がアマチュア時代に使っていたのと同じMPアイアンを手に入れたこともあるんですよ。
今回は、ルーク・ドナルドが今年からMP-59を使っていると聞いて、私も同じMP-59でフィッティングしてオーダーさせていただきました(笑)。菅原さんはMPアイアンを1年間使ってみて、いかがですか?」
菅原さん「もう最高ですね。ある程度のミスは許容してくれるけど、芯を外すとちゃんとミスショットだと分からせてくれる。その性能がMPアイアンらしくて気に入っています」
上條さん「頑張って練習する気にさせてくれるモデルですよね。今回、私は初めてフィッティングを経験して驚きましたが、MPアイアンは、とても細かい部分まで自分に合わせてカスタムしてくれるんですね」
菅原さん「そうなんです。僕はゴルフを始めたとき、自分のスイングをクラブに合わせて打ちこなすべきだと思っていました。でも、ミズノのフィッティングを受けてからは、その考えが変わりましたよ。体型やスイングはゴルファーによって異なるので、クラブを自分に合わせて調整するほうが正しいと分かったんです。実際に今使っているMPアイアンは、とても打ちやすいです」
上條さん「MPアイアンは、精緻に作られた美しさも魅力ですよね。自分がオーダーしたアイアンを、養老工場で丁寧に製作してくれていると思うとワクワクします。以前に製作現場の映像を見たことがありますが、まさに職人技でした」
菅原さん「私は以前にGDOの取材でミズノの大阪本社にお邪魔して、そこでクラフトマンの方にお話を聞くことができたんです。それはもう感動モノでしたよ」
上條さん「いいですね〜。私は養老工場の見学に行ってみたいです!」
菅原さん「そのときは、ぜひ私もご一緒したいです(笑)」
1979年ミズノ入社。
岡本綾子プロが初優勝した82年USLPGAツアーに
随行。
86〜87年、欧州ツアーでのワークショップ活動などを経てマスターフィッターに。
陳清波プロの長男。
1981年ミズノ入社。
3年間ヨーロッパのワークショップで幅広く活躍し世界のトッププロから絶大な信頼を得る。
現在、国内男女ツアープロを担当するクラフトマン。
クラフトチームの責任者。