軟鉄鍛造アイアンがなぜ、昔からプロや上級者に好まれてきたのか。
打感の柔らかさはもちろんですが、インパクトでボールに対してフェースがどうコンタクトしたか。
打点、ボールの潰れ具合、縦と横のスピンといった情報が、明確に手のひらにフィードバックされる。
そして、その打感のイメージどおりに、糸を引くようにボールが飛んでいく。試合の厳しいセッティングで戦うプロやトップアマレベルの上級者は、状況に応じて打点やスピン量を変え、距離や方向をコントロールしています。
そんなシビアな要求に応えてくれるのが、軟鉄鍛造アイアンなんです。

しかし、昨今はアイアンにも飛距離性が求められるようになってきました。
感度の高い打感はそのままに、やさしく飛ばせる軟鉄鍛造アイアンが欲しい。プロや上級者に限らず、そんなクラブがあれば使ってみたい、と思っている、一般のアマチュアも多いのではないでしょうか。そんなゴルファーの欲求に応えてくれるのが、FOURTEENから新たに登場した『TC-544FORGED』アイアンです。
今回はこの進化した軟鉄鍛造アイアンを様々な状況で試打し、その実力を徹底的に探ってみたいと思います。

次に、ピンまで残り140ヤードのフェアウェイからという状況で、ショートアイアンの実力を検証してみました。
ここでは一般男性アマチュアの平均的なヘッドスピード（ドライバーで約42m/s、9番アイアンで約32m/s）に調整し、弾道計測器『GC2』でショットデータを計測。
飛距離性能をチェックしました。

使用クラブは9番アイアン。140ヤードというと、一般アマチュアなら７番か８番アイアンが必要な距離でしょう。
私も打つ前は少し不安でしたが、実際に打ってみると、しっかりピンまで届かせることができました。『GC2』の数値を見ても、キャリーとランのトータルで140から145ヤード飛んでいるのが、ショットデータ上でも立証されています。

7番アイアンで打ったときと同様、ショートアイアンでもフェースにボールが食いついてから、高初速で飛び出すので、ターゲットに対してしっかりボールをコントロールすることができます。
弾道の高さや糸を引くように飛んでいく様は、まさに軟鉄鍛造アイアンならでは。それでいて飛距離は従来よりも1番手は確実に飛んでくれる。ミスヒットにも強いので、パーオンの確率がグッと上がり、間違いなくスコアアップに繋がるでしょうね。

そして最後は5番アイアンをテストしてみました。軟鉄鍛造アイアンのロング番手というと、高いミート率とパワーがないと打ちこなせないという印象が強いと思います。
5番アイアンがやさしく打てて、飛距離もしっかり出せるかは、アイアンを選ぶ際にとても大事な要素になります。テストの状況はピンまで192ヤード地点のフェアウェイ。
私の通常の飛距離でも4番アイアンのフルショットで届くかどうか。確実に乗せにいくなら、UTを選択する状況です。ですが、ここまでのミドルとショートアイアンの飛距離性能を考慮して、５番アイアンを選択。
風はややアゲンストでしたが、問題なくグリーンをとらえることができました。7番アイアンや9番アイアン同様、5番アイアンでも爽快感のある高初速が心地よいですね。

長い番手を持つと、しっかり振らなきゃという気持ちが力みを生みやすいんですが、力を入れなくても、ボールが楽に上がってくれて、やさしく飛ばすことができます。
加えて、私が素晴らしいと感じたのは、インパクト時のソールの抜けの良さです。ヘッドのソールを見ると、トウからヒールにかけて、幅のあるソールになっています。ヘッドが少し手前から入ったり、ダウンブローが強くなっても、ヘッドが地面に突っかからず、スッと振り抜いていけるので、ミスの許容範囲がとても広いと感じました。

一般的なアマチュアのヘッドスピードでも、5番アイアンで180ヤード前後は楽に打っていけるはず。
この距離からアイアンでグリーンを狙えるようになると、スコアメークはウンと楽になるし、ゴルフがもっと楽しくなると思いますよ。