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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/1号
2003年更新
一連の飛距離制限ルールの最終段階
ボールの新規制案をUSGAが近々発表へ

 自ら主催する全米オープンの話題に隠れて、米国ゴルフ協会(USGA)が静かに進めているのが、一連のルールによる飛距離制限、ボールの新規制案だ。本誌が全米オープンの会場で、USGAの専務理事、D・フェイ氏と、用品関連のルール最高責任者である、シニアディレクターのD・ラギー氏を直撃したところ、ボールの新制限案は早ければ、今月中、遅くても7月中には発表されることが明らかになった。

 4年に一度のルール大改正を来年に控え、すでにドライバーに関しては、フェースの反発係数のルール化に成功し、ヘッドのサイズ、シャフトの長さ制限の最終提案の発表までUSGAは漕ぎつけている。

「ヘッドサイズについての最終提案は、7月14日までメーカーなどからの意見を聴いたうえで、最終的な結論が9月、遅くとも10月には発表され、この新ルールが来年のルールブックに掲載されることになるだろう。ボールに対する新制限の提案のためのテストもまもなく終了する予定だ。基本的に私たちのスタンスは、用品の条件を厳しくすることではなく、上限を決めて、その中でメーカーに努力してもらうことにある。ただ、ボールに関しては、従来もすでに上限が決められているが、テスト方法が古くなっているために、新しいテスト方法と、その方法による上限を設定する必要が出てきているんだ。これでボールの制限ができれば、懸案となっていた用品の規制が、ひと段落することになる。もっとも、また新しい問題が出てくるかもしれないけれどね」(D・ラギー氏)ということで、ボールの新制限の発表が、間近に迫っていることを示唆。

 そこで、具体的なスケジュールについてD・フェイ専務理事に聞いてみると、「ボールの制限はこれまでにもあり、テスト方法が変わるだけで、驚くような変化があるわけではないし、また、メーカーをビックリさせるつもりもない。内容はまだ明らかにできないが、早ければ6月の終わり、遅くとも数週間のうちには、メーカーに対しての提案を行う形になると思う」と発言する。

 現在、ゴルフボールに対しては280ヤード、プラス6パーセントの測定誤差を認めるという飛距離制限があるが、これはスウィングロボットを使って、パーシモンのドライバーで、しかも20年以上も前のトッププレーヤーのヘッドスピードで打った場合の数値。そのため、USGAでは、この数値を「チタンヘッドで、現在のトッププレーヤーのスウィングスピードで打った場合の数値」(ラギー氏)に変えようとしているのだ。つまり、これまでは、飛距離の制限があったとはいえ、テスト方式が古いため、メーカー側に開発の余地がたくさんあったのだが、テスト方法を最新の基準に合わせることで、実質的にボールの飛距離制限を厳しくするという意図があるようだ。

 両氏の話を総合すると、基本的にはヘッドサイズ規制のときと同様に、すでに認定されているボールが、その認定を取り消されることはないようだが、これ以上ボールの飛距離が伸びることは難しくなるといえるのかもしれない。

 少なくとも新素材のヘッドのクラブが出てこないことには、ボールの飛距離に関しては、開発の余地がかなり狭められるといえるだろう。ラギー氏によれば、来年のルールブックでのボールに関しての新ルールの成文化については、「時間的にも難しく、たぶん、もっと先の話になる」そうだが、たとえ成分化されなくても、一度最終提案が出されると、基準を超えるボールがUSGAに提出された場合、その認定が保留されたり、後に認定が取り消されることになる可能性もあるため、実質的な効果を持つ場合が多い。

 つまり、現在市販されているボールより、飛ぶボールの開発は、実質上難しくなるというわけだ。もともとボールの制限は、いつかは行われるものと見られていたが、これほど早い時期とは、誰も予想していなかった。ここ1、2年、米ツアー選手の飛距離が急激に伸び、その原因はクラブよりもむしろボールにあるとも言われているが、それもそろそろ打ち止めということなのだろうか?

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