老朽化による補修は必要だが、せっかく工事に入る以上、
機能面での見直しによる居心地の良さや安全性も確保したい。
それが来場者への直接的なメリットにもなる。
「すでに50年以上が経過したクラブハウスですが、新築しないことを決めたので、耐震やその他の補修をすることになりました。
しかし、せっかく工事をするのだから、使い勝手や居住性も見直し、メンバーをはじめとした来場者にメリットがあるようにと、いくつか機能面にも手を加えました」(支配人・高橋英機氏)
元々コンクリートジャングルから緑を求めて来場する人たちのために、クラブハウスもイギリスの山小屋をイメージして設計されている。
無機質ではなく、たとえば窓枠にも木枠を使用するなど、木肌の見える暖かみを重視したデザインである。
36ホールの大規模ゴルフ場だけに、延べ床面積6000㎡を超える大きなハウスだが、フロントロビーはこじんまりとしており、華やかというよりシックなイメージである。
しかし、2階レストランに上がると、途端に大空間が広がる。隣のラウンジ、そして奥の大ホールと壁などの仕切りが一切ない。しかも、傾斜した天井にあわせてマホガニーの太い梁がいくつも渡されて、さながら山小屋の雰囲気を醸し出している。
改修では、年月を経て古くなった内装を新しくし、加えてそれまでなかった冷房を設置した。構造的に風通しが良かったとは言え、昨今の夏の猛暑に対しては必要な処置だ。
さらにロッカー室も防災・耐震を考慮して改装した。男性ロッカーは70~80本単位の個室として、冷暖房効率もよくなった。この10年でメンバーが100人増えた女性エリアでも、ロッカー室を拡張している。浴室も男女ともに新装した。
全体的には大規模な工事と言えるが、できるだけゆとりのある、またそういう雰囲気をつくるためのリニューアルである。
レストラン奥の大ホールはプロトーナメント開催コースならではのモノでもあるが、このハウスにはもう1つの特徴がある。それは3カ所ある特別室。2階の2つは、会議室やコンペルームとしても活用される。
そして、3階はVIPなどを迎えることもあるための用意である。8名限定で、ロッカー、シャワーもあり、ダイニングとなる別室も用意されている。
どの特別室も、部屋自体は決して派手さや豪華さが強調されているわけではない。徒らに高級什器などを備えるよりも、他のエリアとは切り離して落ち着いた時を過ごせるような配慮が感じられる。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。