コンセプトに見合ったクラブハウス内の雰囲気は、
単にデザインだけでは創り出せない。
施設への気配りもまた大切な要素である。
「もともと18ホール対応のクラブハウスでしたから、27ホール、36ホールと増設するに従い、かなり狭くなっていました。そのために改修および増築をして現在のハウスとなっています。クラブハウスはプレーヤーの皆さんに寛いでもらうというのが大前提ですから、ゆったりとした空間のなかで、品格を保ちつつも肩に力の入らない雰囲気というのがコンセプトです」(支配人・森潤氏)
36ホール用のハウスだけに延べ床面積は6000㎡を超えるが、構造的にはシンプル。ロビーやロッカー室にもゆとりがある。また、2階はレストランとラウンジの仕切りがないワンルームのような造りで、貸切コンペなどの300人を超える大型パーティやコンサートなどにも利用しているという。ラウンジの奥にあるコンペルームへの通路も非常に広いのも特徴的だ。
また、単にスペースだけでなく、浴槽を男女とも2つに分け、夏場はお湯と冷水、それ以外の季節は熱めのお湯とぬるめのお湯としている。心のゆとりも提供しているわけだ。さらに、改修・増築からすでに20年が経っているにもかかわらず、内装等に古さを感じない点も特筆ものだ。
「カーペットなどの消耗品は経年劣化による取り替えなどは仕方ない面もありますが、内装、調度ともにできるだけきれいな状態を保つように配慮はしています。たとえば、陶器である便器は洗剤やクレンザーなどは一切使用せず、すべて水洗いのみです。洗剤等を使用すると、表面に微細ながら傷をつけることになります。30分に1回程度見回って、さっと拭けば全く臭いもしませんし、水洗いで十分きれいに、そして劣化を防ぐことができます」(施設管理部長・土屋義春氏)
コンセプトと構造、そして維持管理の気配りが、清潔感のある気の置けない雰囲気作りに繋がっているのである。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。