現代のゴルフ場にとって、周辺環境と実用性を第一義とし、
他が見本とするデザイン・構造こそ、リーダーコースの矜持だろう。
旧ハウスは昭和32年(1957年)に建てられており、耐震に問題はなかったものの、インフラ関係の老朽化により新築することになった。
「いろいろな考えもありましたが、ゴルフ場が国定公園内にあるので、ビルのような近代的な建物は不釣り合い。来場したお客様が快適に過ごすとなると、今時、華美・豪華というのも合わないだろうと。結局、旧クラブハウスの壁面色「白」を基調とし、シーサイドコースにあった木造のイメージで、そこにひと捻り工夫をするということになりました。加えて、市街化調整区域でもあるため、建築物に関する制約があり、コンパクトなものとなったわけです」(支配人・青木則明氏)
駆体を鉄筋コンクリートで屋根を鉄骨構造に、そして内部の柱や梁にはできるだけ木材を使用した。コンクリートの打ち放しになるところも、表面を木目調に工夫して木の雰囲気を出している。
「フロントのカウンターは当初、石造りの予定でしたが、雰囲気を重視して木に変えました。地元福岡では家具で有名な大川市の業者に発注しました」(青木氏)
また、旧ハウスではレストラン、浴室、ロッカー、コンペルームといった主要部分が狭かったが、キャディ棟とカート庫を別の場所に造ることで、全体的にスペースを広げている。特にロッカールームに関しては、ロッカー幅を30㎝から45㎝で奥行きのあるものに替えた。そして、太陽光発電や太陽熱温水器、雨水濾過システム、ガスコージェネレーション等も導入している。
木の温もりとともに、運営コストにも配慮したハウスである。
今回の新築に当たって新設したのが、レストラン奥にあるメンバーズルーム。コンペルームがレストランとはやや離れたところにあるのに対して、隣接している。昼食後、そしてホールアウト後のひと時をゆったりと寛ぐことができる。
「静かで落ち着いた雰囲気を第一にデザインしていただきました。利用に関しては、ソフトドリンクをセルフサービスですが、無料で提供しています。日曜、祝日はメンバーオンリーなので、よくご利用いただいています」(青木氏)
歴史あるメンバーシップならではの空間である。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。