ゴルフコースに自然の癒しを求めることは多いが、
その中で人工物のクラブハウスを違和感なく存在させるのは難しい。
このハウスは円形のフォルムの柔らかさで、優しい雰囲気を醸し出している。
「山間にあるゴルフ場ですが、コース内の高低差は40ヤード以下で崖などもなく難易度の高い厳しいコースというより、ゆったりとゴルフを楽しむデザインです。クラブハウスも直線、角ばったものではなく、円形の構造にすることで柔らかさを出し、来場したお客様にはゴルフ場全体で寛いでもらおうというのがコンセプトです」(支配人・中野賀郎氏)
円形のフォルムは、ハウス内に入っても十分に感じられる。フロントロビーは吹抜けで、円形の天井は中央が天窓になっており、レストランも円形、浴室も円形となっている。特に浴室は、男女ともロッカー室から階段で上がった2階に配置されている。
「浴室は、ロッカーでの着替えや人の行き来など、慌ただしさとは別の空間でホッとしていただきたい、という趣旨で2階になっています」(中野氏)
すでに20年以上経つハウスだが、ゆったりとした雰囲気は現在でも来場者に好評価だ。この間、ショップをコース側出口の脇からフロント前に移しただけである。こうした円形の建物など雰囲気や印象を重視したデザインでは、とかく使い勝手が2の次になる場合が多いが、このハウスに限っては動線もシンプルで、初来場でも使い勝手は良い。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。