大きなクラブハウスの場合、ゆとりあるレイアウトを無駄な空間にしてしまうのか、
あるいは来場客の心に安らぎを与えられるのかは1つの課題。
それには、癒しの空間とするための演出が必要だろう。
「奈良という場所を意識して、寺院をテーマにした外観と伝統的な日本建築美を意識した内装のハウスです。27ホールのコースで延べ床面積8400㎡超なので、宿泊施設のないクラブハウスとしては日本有数の規模だと思います」(フロントマネージャー・河合理香氏)
コース側の外観は3棟のように見えるが、実際は、真ん中にラウンジを配して、向かって右にロビーやレストラン、事務所等のメインとなる棟、左に男女ロッカー&浴室の棟に分かれている。また、構造上は3階建てだが、1階はスタートテラスとバックヤード、3階は男性のコンパートメントロッカーのみということで、来場ゴルファーにとっては2階フロアだけで用が足りる、ほぼ平屋に近いレイアウトだ。以上のことから、面積は広いものの、動線としてはシンプルである。
ロッカースペースがかなりの面積を占めているが、27ホールとしては本数的に特に多いわけではなく、ゆとりある配置となっているということ。コンパートメントロッカー(個室)や浴室の露天風呂など贅沢な設備があり、さらに通路が広く取られていることも、非日常の演出効果をより高いものにしている。
このハウスのもっとも象徴的なスペースがラウンジである。前面にコースを望み、背後は太い木の柱で支えられた木版に大きなタペストリーが飾られている。吹抜けを挟んだレイアウトのため、他の動線とは被らない独立した空間である。ラウンド前に、またホールアウト後の寛ぎのひと時に、ゆったりと過ごすにはうってつけ。あるいは急いた気分を落ち着けてくれる場所である。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。