ハウスを新築する場合、機能性や経済性はできるだけ高めたいもの。
だが、慣れ親しんだ旧ハウスの特徴を
取入れることもまた、利用者への配慮となる。
下関という土地柄から船をイメージさせた旧ハウスと見比べると、外観も内部もまったく刷新しているように思える。しかし、歴史ある倶楽部として、メンバーへの配慮をしているという。
「間取り図を見てもらえば分かりますが、1階中央にロッカーを配置し、建物全体が比較的正方形に近くなっています。これは旧ハウスの動線を考慮したもので、形状的にもスペースを有効活用できるデザインとなっています。また、1番10番のスタートホールとの繋がりについても、以前同様に考慮しました」(支配人・前田昌宏氏)
確かに、ゴルフ場のクラブハウスに多い、左右にロッカーとレストランを配した横長の形状とは異なる。見た目は違うが、ずっと馴染んできた動線であれば、利用者には優しいと言えるだろう。
2階は通路からレストランに進むと、ブラウンを基調とした落ち着いた雰囲気となる。そして、その一角にあるメンバーズラウンジは、全体の雰囲気を創る上でも大きなファクターになっている。天井を木製とし温もり感を出して、さらに厨房など工法を工夫して天井までの空間を設けることで、実際の面積以上の広さを感じさせる。
「今回のハウス建設に当たり、地盤を70㎝ほど上げてコースとの一体感がより出るような配慮をしました。同時に、芝地をハウス直前まで広げて、コースの中にハウスがあるイメージが持てるようにしました」(前田支配人)
たとえば、18番のグリーン奥の芝地をハウス直前まで延ばしたり、景観を考えて、コースの特長でもあるマツの間引きもしたという。新ハウスはシンプルでスマートな外観ながら、歴史ある林間コースの中で馴染んでいる。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。