集客施設である以上、機能性を重視しつつも、
リニューアルにより時代に合った雰囲気作りを
演出することは重要なポイントになる。
「最初は老朽化に伴うトイレの改修を考えていましたが、せっかくだから厨房を含めた全面改修で、若い層にも気軽に足を運んでもらえるようなカジュアルな雰囲気のハウスにしようということになりました」(取締役総支配人・片石潤旺氏)
全体に黒を基調に木目調の木の質感をバランスよく配置することで、カジュアルながらも落ち着いた雰囲気でプレーヤーがゆったり寛げるようなデザインになっている。
「43年前に建てられた旧ハウスは、大きな1つ屋根のもとに空間構成されていて、当時としては随分モダンな造りだったと思います。しかし、時代とともに内装は〝古さ〟を感じさせていました。したがって、今回のリニューアルはロビーの大きな階段や奥行き感のあるレストランなど、レイアウト自体は大幅な変更は行わず、主に内装を現代的に変えたのです」(片石氏)
具体的には、コンクリートの上に白色系にペイントされていた柱や、クリーム系の壁などをグレーペイントとオークウッド調に。元々あった高窓からの採光を効果的にしたり、逆に時間帯によっては光が強過ぎた駐車場側の大きなガラス面を曇りガラスにすることで柔らかな光に変えたりといった改修である。照明についても、それまで少なかった間接照明を各所に設置。特にハウスの特徴である正面階段の両サイドに付けることで、〝自由〟な雰囲気を演出した。
また、もう1つの特徴がデジタルディスプレイ(サイネージ)の利用だ。クラブ競技の歴代チャンピオンなどのボードは、現代のカジュアルなハウスにはどうしても重く感じられる。それらをグリーンスピードやレストランのメニュー紹介などと併せて、6つのサイネージにした。ロビーにはハンディキャップボードのみ。その他は、すっきりとフロント横の壁に納まっている。
さらに、古くからのメンバーへの配慮もある。競技トロフィーなどはそれまでのショーケースではなく、レストラン奥の透明なボックスに入れて展示。主張しすぎることなく存在感を放っている。
老朽化していたトイレや浴室などの水回りはもちろん改装して新しくなっているが、なにより「カジュアル=親しみやすさ」としたコンセプトが見事に表現されたハウスである。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。