それほど広くない敷地で開放感を出し、コースと借景による景観を楽しむために
ガラス張りのスペースを大きくとった斬新なハウス。
「50年以上が経過して、老朽化が進んだことが、新築した直接の理由です。かなり広い面積をガラス張りにしているのは、いくつかの考えを実現させるためのデザイン上の工夫です」(支配人・古賀幹也氏)
1つは地元鳥栖市のシンボルとも言える朝日山をハウスから一望できること。1階、中2階のラウンジからもレストランからも、ちょうどコースの先に全景が望める。そして、もう1つは昔からの敷居の高いイメージを払拭すること。 そのためにスポーティでカジュアルな雰囲気にし、多様性のあるイメージを演出した。また、旧ハウスと同じ敷地に建設したため、さほど面積に余裕がない。それでも開放感を最大に引き出すにはガラス張りが有効だった。さらに、キャディ室やリネン室などを地下に配したことで同じ敷地でも来場者スペースが広がり、ゆとりあるレイアウトを実現している。
「内部の構造や装飾、空調などの機能性は当然刷新しました。また、クールヒートチューブという地熱を利用した換気システムを採用しています。しかし、フロントやレストランの位置は以前と変えていないので、古くからのメンバーやリピーターにも使い勝手はよいと思います」(古賀支配人)
地熱利用により空調は吹き出し口があるだけなので、無用な出っ張りがなく見た目もスマートだ。また、デジタルサイネージをスタートテラス、フロント前、レストランに設置し、ポスターなどの掲示をなくすことでさらにすっきりとした印象となっている。
レストランのある2階フロアは、他に厨房とコンペルーム、特別室があるだけ。いわば、〝食〟に関連するものでまとめられている。表玄関からレストランまで開放感が強調されているが、コンペルームと特別室は個室感覚が強い。また、ガラススペースが大きいと西日などの問題が懸念されるが、全面的にガラス張りとなっている朝日山側は北向きで、西日等の心配もない。ちなみに、ガラスは19㎜の強化ガラスで、従来の清掃スタッフは清掃専門の別会社に移籍させたという。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。