近年数が増えているクラブハウスのリニュールには共通項がある。それは、かつての雰囲気を払拭して、“モダン・落ち着き・温かさ”を強調することだ。このハウスも例外ではない。「山奥に佇む高級山荘」というコンセプトのもと、2008年から5期にわたる段階的な
リノベーションが完了した。
「洗練されたモダンな雰囲気、それでいてどこか懐かしい温かみのあるハウスというのが10年に及ぶリノベーションの共通したイメージです。すでに50年近い歴史のなかで、開場当初のメンバーから最近入会した若手メンバーまで幅広い層に受入れられるデザインを目指しました」(広報企画室課長・日阪亮介氏)
テーマカラーをダークブラウンに設定して、改装の基本とし、照明も電球色で統一した。すべての備品でステンレスやシルバー、アクリルなどの光沢の強いものや温かみに欠けるものは避けた。さらに、コンペルームの増設や女性エリアの拡大・利便性向上、女性トイレやパウダールーム新設などは時代に合わせた使い勝手の向上として実施した。また、湯船の縁を国産ヒノキにしたり、家具や掲示、陳列品などは必要最小限に止めるなどの細かな配慮もしている。
構造的には、フロント前のロビーが狭いのだが、そこからロッカー室などに続く通路がかなり広く、リノベーションを通じてそこに置かれたソファー類の数を絞るなどして、中に進むに従って〝ゆとりある空間〟を意識させるようになっている。
色調が統一されていることも含めて、華美な色合いがなく、平面の広さを感じさせることで落ち着きとグレードの高い佇まいを実現している。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。