豪華さがすべて否定されるわけではない。
ワンランク上のサービス提供を考える上で、使い勝手や機能性を求めつつ、
高級感を醸し出すリニューアルもある。
もともとスペインのマドリード近郊、セゴビアに風景が似ていたことから、ゴルフ場の名前がある。クラブハウスもアルカサールというスペインの古城を模して設計された。穴ぐらをイメージしたそのデザインは、プライベート空間を意識させるものの、全体的に暗く、壁面や窓、扉に至るまで曲線美を追求していた。加えて、ドアノブや水栓器具などにもこだわりの演出が随所にあった。それは、究極の非日常とも言えたが、経年によって各所の劣化の補修を難しいものとしていた。
「照明といっても、ランプに牛皮を付けていたり、表玄関のドアも湾曲した鉄製でした。そうした点を改善したのが今回のリニューアルです」(支配人・鶴町慎一氏)
つまり、高級感としての非日常の演出は維持しつつ、明るく使い勝手のよい空間に変える改修だ。ライトの数や明るさを増やし、壁はブルーグレーのタイル貼りから白壁に塗り直し、カーペットも一新した。さらにデザイン優先で動線を悪くしていたようなせり出した柱は削り、前出の鉄製玄関扉も通常のガラス製の平面扉に変更した。
とはいえ、特に平日は近隣の人の来場が過半のため、ロッカーやお風呂の利用率は非常に低い。ちなみに、ロッカーは男女とも利用者だけが支払うコインロッカー形式だったが、今回から通常の料金に含める形となった。
「お客様には大変好評で、特にレストランではスマホで撮影する女性客も多く見受けます」(鶴町支配人)
全体が明るく機能性を高めることで、現代にマッチした〝スペイン風〟になっている。
リニューアルのもう1つの柱がVIPエリア。玄関やフロントまで別設えとなっている設計の特長を生かすべく、VIPエリアもブラッシュアップした。利用頻度を上げるべく、一般スペース同様に壁を白く、照明を明るくし、居心地のよさを演出した。一歩上をいく高級感演出には、大切なパートである。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。