ゴルフ場クラブハウスといえば、多くが2階建。
たまに平屋もあるが、3階建は珍しい。
機能性とコンパクト化を狙って、あえて3階とした新築ハウス。
旧ハウスは築50年以上で、耐震の問題や水回りの老朽化、女性スペースの狭さなど機能面での問題も抱えていた。
「諸問題の解決と、今後の運営を考えた時に、リニュールではカバーできないと新築することにしました。そして、機能性、コンパクト化、カジュアル化の3つを設計コンセプトとしました」
とは、㈱アコーディア・ゴルフ施設管理部長の青柳好典氏。
1階はフロント事務所、マスター室、スタートテラスを直結して、フロントのすぐ目の前に大きなショップを展開。ロビーやラウンジを大きく取らず、スタッフの動線を極力短くし、併せて来場客の動線の短縮も図る。
「スタッフの動線は旧ハウスの半分になっています」(青柳氏)
さらに、2階に男女ロッカー、浴室をまとめ、これまでなかった兼用ロッカーを作り、女性スペースは以前の2倍以上になった。
コンパクト化に関しては、床面積は旧ハウスの70%程度になっている。これは3階建にすることで、通路を最小限に抑え、ムダを極力省いた結果だという。だが、決して狭いという感じはしない。それは、眺望がよく、明るい開放感のある雰囲気からも来ているのだろう。階段を緑にしたり、レストランの椅子を山吹色にしたり、カラフルな色使いもまたカジュアル感を助長している。
また、フロント周りや玄関にはゴルフ場名が大きく掲示されているのが一般的だが、それがないのも新しい発想といえるだろう。
しかし、3階建というと、昨今の来場者に高齢者が多く、階段の上がり下りが大変というイメージがあるのだが‥‥。
「もともと動線が短く、さらにお客様用と従業員用に2台のエレベーターを設置しています。移動に大きな負荷はかからないと思います。また、お客様に関しては、階段をそれほど苦にしないアクティブシニアを想定しての設計です」(青柳氏)
大きな空間の非日常感溢れるハウスから気軽なコンパクトなハウスへ、時代の変化を感じさせる。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。