大きな空間があっても広々としていても、それだけで好印象を与えるとは限らない。
くつろぎを醸し出す雰囲気が、広くても広さを感じさせない落ち着きを生むこともある。
レジャー施設としてゴルフ場は非日常を演出し、来場者にゴルフプレーの楽しみだけでなく、心地よい時間と空間を提供している。そして、その象徴的な場所がクラブハウスだ。あるところでは重厚感が落ち着きを生み、あるところでは明るいカジュアル感がストレス解消に役立つ。
太平洋クラブ御殿場ウエストのクラブハウスは、全体の色調を淡く白に近いクリーム調に統一し、4500㎡という広さを利用して、ゆったりとした空間に柔らかい雰囲気を作っている。迫力ではなく、一歩下がったゆとりある高級感が特徴だ。
18ホール規模のクラブハウスとしては、十分な延べ床面積ながら、コンパクトにさえ感じさせる室内は、力強さやシックな感覚を排除したやさしい感覚が、たとえ短時間でも滞在した者が寛げる。
来場者ゾーンのレイアウトはシンプルで、フロント対面に男女ロッカー・浴室の入口があり、2階はレストランを中心に奥と厨房側にコンペルームという配置。ロビー奥は全面ガラスでそれが額縁のようにコースを引き立てる。レストランもガラス張りで見事な景観が広がる。
玄関から入った1階のロビーこそ天井が高いが、2階の天井は通常の高さで無駄な空間がないのも特徴の1つと言えるだろう。
屋外の回廊で繋がるホテル。御殿場という比較的都心に近いエリアながら、近隣の御殿場コースとの2プレーを楽しむメンバーなども多く、ホテルの稼働率はトップシーズンになると70%を超えるという。
クラブハウスと外観は同じクリーム基調で、ホテル内部は部屋のドア、階段等の手すり、また共用のリビングも板張りにしているなど、木のぬくもりを感じさせる造りになっている。そしてハウス同様、柔らかくやさしい空気が流れている。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。