ゴルフ場の他のスポーツ施設とのもっとも大きな違いは、〝広さ〟である。
機能よりもくつろぎを優先するクラブハウスでも広い空間は非常に重要な要素だ。
「当倶楽部は、ゆとりある時間、あるいは〝粋〟をキーワードに1990年に開場した接待型のゴルフ場です。クラブハウスもそのコンセプトを反映したものになっています」(取締役支配人・谷水大佑氏)
開場当時は1日30組程度を上限に運営していた。時代が移り、当然オペレーション方法も変わってきているが、「原点は継承している」(谷水支配人)という。
フロント前ロビーは吹き抜けで広く、初めて来場したゴルファーは足を踏み入れると非日常感覚が伝わる。男女ロッカーとも、ロビーを抜けてスタートテラスに向かう階段を数段下がったところの奥にある。この広いロビーは、朝夕を除くと、昼食時等に2階に上がる時だけ通る。わさわさとした感覚は皆無だ。
「落ち着いた雰囲気を保つために、スタッフがハウス内を走ることもないように慌てた様子を見せないなど、振る舞い1つにもゆとりを感じていただけるように配慮しています」(谷水支配人)
今回はレストランを中心にテーブルや椅子、そしてカーペットを入れ替え、フロントカウンターやパントリーなどを天然大理石にし、ライトアップを施すリニュールを実施した。内装は柱や桟などのマホガニーと壁のクリームの色調で、穏やかで落ち着いた雰囲気に統一されている。また、現在倉庫としている部屋をライブラリーミュージアムにする予定もある。
広い空間はなるべく壁での仕切りを排除し、構造的にはシンプルに、時代に合わせてアートなどの装飾品で変化に対応する考えだ。そして、今秋に予定される日本女子オープンなどメジャートーナメントも開催する格式も維持している。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。