高価な調度や装飾で豪華さを出すよりも、
デザインによる空間造形の演出で高級感を醸し出す方が時代には合っている。
「家具や内装の老朽化をはじめ、ハウス内インテリアの全面的なリニューアルを行いました。ただ、改修コンセプトとしては、日本が誇る吉村順三氏の設計デザインを大きく逸脱することのないように配慮しています」(副支配人・澤田憲之氏)
もともと派手な装飾はなく、構造的には特に問題はなかったが、全体に照度が低く暗いイメージだった。そこで、カーペットの入れ替えとともに、フロント後方の壁を改装してライトを付けたり、ロビーにも壁面照明を入れ、レストランとラウンジや階段ホールを仕切っていた植え込みを排除して、間接照明や行灯家具を取り入れて、温かみのある空間とした。また、各所のソファー、テーブル、椅子などもすべて替えた。
そのほかにも、狭かったショップと1階ラウンジを入れ替えて、プロショップを大きく展開した。ライティングだけでなく、ショップ商品の陳列があることで、スタートテラスに向かう動線の雰囲気が一変している。
レストラン奥にあるメンバーズラウンジはかなりの広さがあるが、ここも新たに暖炉を造り、そこに照明をつけるなど、雰囲気を壊すことなく現代風にアレンジした。
隠れ家的なイメージのハウスとして樹木に囲われていたが、それも間伐し、特に玄関周りは、樹木を伐採し、駐車場を拡張して、開放的な車寄せを改めて造った。
かなり大々的な改修だが、大きな空間のなかでの気品ある落ち着きは失われていない。
コンペルームは7室あるが、そのうちの1つにちょうどメンバーズラウンジの裏側に位置する、ロッカーや浴室を備えた特別室がある。一般客と出入口を別にするようなものではなく、日常の営業のなかで、利用頻度も高いものだ。
ハウス内での1日を過ごすことになる特別室の雰囲気はまさに和モダン。そして特徴は、天井の間接照明。スイッチ1つで7色に変化する。これは朝・昼・夜のシーンを演出しているとか。利用者にも意外と好評とか。稼働率の高い特別室だけに、小さな話題が大きく広がるかもしれない。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。