クラブハウスを新装するとき、リニューアルでも新築でもそのほとんどが時代にマッチすることを目指す。かつては「重厚感」が評価されていただけに、そこから機能性・利便性を兼ね備えた「カジュアル感」への移行が多い。
老朽化した施設の刷新は当然だが、色調を明るくしたり、寛ぎ感のあるインテリアにするなど、内装の変化で新たな雰囲気をつくる。動線を再構築して来場客、場合によってはスタッフ動線もシンプルにする。
この長太郎CCのハウスでは、グレーやベージュを基調に石目調タイルや左官仕上げ、目の粗い木目柄を床や壁に使ってカジュアルな中にも落ち着きある空間を演出している。そのほかに女性スペースの拡充、兼用ロッカーとストレッチルームの新設や女性スタッフ専用の休憩室の設置など、内外にわたる〝改良〟を施した。また、あえて喫煙室をつくって喫煙者への配慮もしている。
ここで画期的なのは、メンバーズロッカーとキャディバッグテラス(積み下ろし場所)をハウスから離れたところに移設したことだ。既存ハウスのリニューアルでは、女性スペースの拡充には倉庫を潰したり、バックヤードを削ったりすることもあるが、それでは確保できる面積は限られる。
「表玄関でキャディバッグを下ろすのではなく、駐車場方向にさらに進むとキャディバッグテラスがあります。
最初は戸惑われるお客様もいますが、キャディバッグを下ろす場所と駐車が隣接しているので、運転されている方には不便はないと思います。メンバーズロッカーを移したことも含め、スペース確保のためですが、キャディバッグテラスは将来的にセルフでの積み下ろしも視野に入れた措置です」(支配人・広富淳一氏)
ストレッチルーム設置のきっかけは、メンバーにアスリート系のゴルファーが多いためだという。
「以前はよく、お風呂場でストレッチをされている方がいました。なので、ストレッチルームは喜ばれています」(広富支配人)
バブル期のハウスにもストレッチルームは見られたが、その頃は朝ストレッチをするという意識が低かった。現在はスポーツジムに通うゴルファーも多く、時流的にマッチしているとも言えるだろう。
また、女性スタッフ用の休憩室も今どきの発想である。同CCはスタッフの6割が女性。しかし、これまでの休憩室は男女兼用だったため、特に若い女性スタッフは、わざわざ自分の車の中で休憩することも多かったようだ。ゴルフ場の人材不足が問題化している現在、こうした配慮は大切であり、必要なことと言えるだろう。
今回、ご紹介したクラブハウスは…
「クラブハウス探訪」はゴルフ場経営の専門誌「ゴルフ場セミナー」に掲載中。