最高の試合はどれですか
坂田プロが今まで見てきた中で、最高の試合(ナンバーワンゲーム)は、いつのどの試合でしょうか。また、どの場面が最も印象に残っているでしょうか。
(東京都 38歳)
ひとつあげるとすれば
やはりマスターズです
思いつきません。
私は物書きの身として、一組だけに張りついた見方をしております。試合の展開が変われば、その組の方に移りますが、その時点でまた、一組だけの流れに没頭してゆくだけ。全体の流れは分からぬ。足の裏で原稿を書いてゆく昔流のタイプです。
私は選手の心情に忍び込んでゆく深い見方をしてゆきますから、気がつけば、アー、試合は終わったんだなと思うだけ。だから、どの試合も、いい勝負の綾が出ていたなあと思ってそれでオシマイ。ある意味じゃ、私は、傲慢なんですよ。
観客の方が、スゴいショットだ、奇跡だ!と感動されても、私は、自分ならどうやって打ってゆくかなと思っているのであるから、次なる段階の心理部分にすぐ入ってしまう。勝負どころのショット、パットに対するザワつきが少ない分、冷めているのかもしれません。
私は奇跡といわれるこの1打への順序、要するに勝利へのプロセスを見るのが好きです。早くいえば、物書きの身に遊んでいるんです。ただ気持ちが乾いていることはないと思います。そこまでは、疲れていない。
テレビの解説は、観衆の雰囲気に合わせて、一緒に踊らなきゃならんのです。私はそれがイヤなんだ。だからテレビのマイクは性に合わない。踊らなきゃ、威張っとると言われるし、踊りすぎると、アリャ阿呆だ、ゴルフが分かっとらんとか言われるしネ。
その辺りを上手く凌ぐと、タモリ、ビートたけしのラインは作れる世界なんです、テレビというのは。私はテレビマイクの前では乾く。書いているときは、気分がシットリとしております。
・・・最高の試合、記憶にありません。全部、いいと思ってる。1打差の凌ぎ合いも、大差もその中には面白いものがチラチラしている。
しかし、これじゃ貴兄への期待に応えることが出来ないのかね?
バレステロス、ノーマン、ラリー・マイズの3人でプレーオフをし、マイズが勝った1977年のマスターズ、これはいい試合だった。
バレステロスの負け方、ノーマンの負け方に、男の咆哮を感じました。
そしてマイズの11番でのチップインバーディ。印象に残ったアプローチでした。クラブヘッドの入れ方が、一生に一度ぐらいの緩みのない入れ方でした。セカンドショットでは逃げていたのに、第3打は攻めていったマイズの土壇場の力。アメリカツアーの底力を感じました。
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