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ゴルフ野性塾スペシャル
No38..マスターズ ...(3/22)

マスターズの日々を回顧する

マスターズ観戦記事取材の旅が続く。オーガスタ参りにいささかの疲れを覚えている。1985年の最初の時はコースの緑、バンカーの白さ、空の碧さが新鮮であった。1日3ラウンド近く歩き回っても、疲れは残らなかった。電話による口述筆記には参った。毎晩1時間ぐらい原稿を読んでゆくのである。最終日の原稿を送り終えた時、声が出なかった。

2年目。私は元気一杯、原稿送稿にもファクシミリを持参していたので、苦しいことは何もなかった。3日目の午後、15番ホールのスタンドにいたが、ポカポカ陽気に誘われて寝てしまい、起きた時には陽がかげり、最終組は17番グリーン上、周りには誰もいなかった。今想えば、実に懐かしい。

3年目、原稿を書くのが辛くなっていた。時差に対する順応が遅れ、頭痛を感じての1日3ラウンドの歩きはきつかった。他紙での連載を始めた年でもあり、複数の雑誌に書くのに慣れず、私は戸惑っていた。

4年目の予選ラウンド2日目。金曜の午前中、取材に気だるさを覚えていた私はオーガスタ市郊外のジョーンズCCに行き、ゴルフをした。このプレーで気分が一新、トーナメントを追う自分自身の眼線に新たなるものを感じた。しかし、深夜におよぶ原稿書きで、疲れは翌週まで残った。体力の衰えを感じた。

そして5年目、最後のマスターズ参り、というつもりで私は火曜日から歩きに歩いた。日々、3ラウンドハーフは歩いた。メモ用紙、50枚ビッチシの取材をした。原稿としたのは、そのうちの12枚だけ。あとは破って棄てた。残った取材内容は棄てる、というのが私の主義である。いつまでマスターズ取材に行くのか、今はわからぬ。余力のあるうちに引き、これまでの思い出を追ってゆきたいという気持ちはある。アトランタ、レイクラニエル島にて。