練習と本番の使い分けは?
プロ野球の選手の場合、キャンプ中に、試合で使うグラブより一回り小さいもので練習したり、高校野球の場合も練習では木のバットを使って、試合では金属バットを用いる等のことをしております。ゴルフの場合、練習ではいわゆる難しいといわれるクラブを用い、実際のラウンドではやさしいといわれるクラブで打つということは、意味のないことでしょうか。バランス、シャフト、フェースの向き、ライ角などほとんど同じものを難易2種類用意するのは、ナンセンスですか。
(東京都 M.T)
バットとクラブは違います
野球(バッティング)では、動いてくる球に対する反射神経を鍛えるのが練習の重要な課題であろうと思います。投げられた球に負けぬ、スピードの養成も大きな練習課題。いづれにしても、球の変化に対応できるスウィングを作る必要はありましょう。
ゴルフでは静止している球を動かしにゆくのですから、スウィングする体に、一定弧の作りだせる振りを覚えさせなければなりますまい。同じ動きが出来るまで、反復練習は必要です。
野球はスウィングの状況変化が基本となっており、ゴルフではスウィングの不変が基本。野球では、変化に応じるのは第一にスウィングスピード。要するに肉体。ゴルフでは、変化に応じるのはゴルフクラブが第一。
野球は方向性90度のゲームであり、バットでスライス、フックが自在に打てるのであれば、5割打者誕生は可能でありましょう。ドロップボールが打てるのであれば、二塁打は量産出来るはず。
ゴルフは方向性10度のゲーム。ドライバーで250ヤードのストレート球、そしてストレートのアイアン球が、常時打てるのであれば、年間5000万円は堅い。野球は反射神経、スピードの衰えがみられたら現役引退。45歳が限度と思います。ゴルフは、体力の衰えを多くのものがカバーしてくれますので、55歳までは現役生活できると思います。
ゴルフのスウィングは反復練習の中で、作ってゆくものです。私は、難しい、使いにくいクラブで練習するよりは、使い慣れたクラブで反復練習するのを善しと考えております。自分のクラブを人の前で「名器」と威張れるくらい、使いこなしてみたいものであります。
ゴルフクラブの顔は、使うほどに顔が変わってくるものです。クラブの顔が、新品の時とは全く違っているくらい、使い込んでゆきたいものです。
私には、上級者の貴兄におすすめしたい案が一つあります。それは、球を曲げることを覚えること。球を意図的に曲げてゆく中から、球とクラブとの関係を知ってほしいと願っております。
近年のレッスンは、如何に球を曲げないで、遠くへ飛ばすかに走っておるようですが、こりゃ難しすぎる。レッスンをする人自身が、出来ぬことであるはず。私もより遠くへ、より正確に、をモットーに球叩き稼業を20年近く、やってきておりますが何とも難しい。日々、もだえております。
私自身の体験、それに研修生、ジュニア諸君との交遊の中から感じたものは、球を曲げることを覚えたほうが上達は早いということ。HC10の人がHC5を目指す時、ストレート球を求めて練習するのか、あるいはスライス、フックと曲げる練習の中からHC5に到達するのが早いか、私は曲げる練習の方が早いと思っております。曲げる中から覚えるストレート球、あるいは自分の得意球にはしぶとさがあります。
フットとスライスの曲げ方を交互にやってゆく練習も面白いと思います。初心者の方にはマイナスとなる練習方法ですが、上級者の貴兄にはプラスになると思っております。
また、曲がってもよいから遠くへ飛ばすという意識で練習されるのもよいでしょう。真っ直ぐに打たなければ、という意識がゴルフを難しくするものという気はします。
難しいコースへ行き、使い慣れた易しいクラブを使って、いいスコアを出す。私の願望です。
貴兄の考え方、意味のないこととは思いませぬが、実践即応的という感じはしません。
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