球の高さが分からない
私は球の高さが分かりません。高さうんぬん以前に、クラブからの飛び出し角度も、うまく把握できないくらいです。角度音痴というか、高さに鈍感なんです。高さに対する勘というのは、どのように磨けばいいのでしょうか。
(東京都・28歳)
鈍感になりなさい
勘を磨くは経験。他に磨く手段もあろうが、経験程の磨き勝れしものはないと思う。高さの一定はスウィングの一定であり、勘と同一にすべきではない。
高さを勘で出そうとするところに、貴兄の間違いがある。低くも高くも、高さを生むはスウィング。
貴兄は球捌きに器用な方と推察。でも、その器用を全面に出す程にゴルフは難しくなってゆくことを知らねばならぬ。今少し、素振りをやるべきだ。勘で振るのではなく、スウィングで振る意識を持って・・・。
飛び出し角度なんてのは考えない方がいい。プロでもこの飛び出し角度を知る者は少ない。特に現役トーナメントプロは飛び出し角度には頓着しないものだ。
「直感ですよ、直感!」
インパクト直後の球を理屈で追える程、人間は機械的ではなかろう。私は球打ってる時、飛び出し角度なんて面倒な事、考えなかった。第一、ヘッドアップでもしない限り、飛び出し角度が分かる筈ないと思いませぬか。
鈍感でいい。それが当たり前。ゴルフにへ理屈入れるからゴルフはややこしい技術の競技となり、難しくもなる。
ゴルフ理論には飾りが多過ぎる。100年の間に、飾りを多くつけてしまった。基本とは単純がベスト。この3年、私はゴルフ界に伝えられし基本、理論といわれるものをバラバラにし、不要と思えるものを捨て、そこで改めて組み直してみた。不要のものは多かった。10分の7は不要論。
一度、不要なるものを身が覚えると、正すは難しい。周防灘の研修生8名、ド素人で私の許に来た者はいない。皆、15、16歳でゴルフをかじり、ゴルフ歴2年あるのにハーフ60を切れなくて周防灘に飛び込んで来た。
体が覚えたものを取り除くことは出来ぬ。ましてや、若い体が覚えた動きである。その動き、3カ月で癖になる。取り除いても取り除いても、どっかで癖の動きは顔を出す。研修生には根気が要る。吸収力が弱い。
周防灘で初めてクラブを握ったド素人の体であれば、3年でプロテスト最終戦に行けよう。半端な振りを身につけて来た者、テストに行くのに8年はかかる。高卒後に来た者、26歳合格が目安。
それでテストに通ったとしても、試合経験のない身、ツアーに出るのはひと騒動。例えるに、草野球程度の経験でもあるか、高校硬式野球程度の経験でもあれば何とかなるが、試合経験ゼロでトーナメントに臨むのは酷。
状況に応じたショットの作り方、気持ちの切り換え方等、知らないのだからトーナメントに出ても結果は推して知るべし。
野球は145キロのスピードボールひとつ持っときゃ、プロ界に入ってもゲームになる。ゴルフはオープン競技出場経験50試合を持ってりゃ、何とかなります。
145キロのスピードボールと、オープン競技50試合はプロに転じた時、同じ価値と思う。
試合経験がゼロの者がテストに通って、すぐトーナメントに出場するのは不可能に近い事。ツアー予選会のレベルは高い。プロテストの比ではない。
テスト通っただけの者がトーナメントに出る資格を取るのは大変。新人のゴルフを球威に例えると、125キロのストレートボールだろう。他に変化球を持つ訳ではないし、すぐツアーでやるには力不足。ならば、アマ時代に50試合やる方がズーッと簡単。
プロとして出場資格取るよりはアマとしての出場資格の方が遥かに易しい。ジュニアの親に相談を受けた時、私は大学ゴルフ部を勧める。全ての面でゴルフ場研修生よりは学生ゴルフの方が恵まれているし、有利でもある。
勘を磨くは経験。貴兄は勘で球を打とうとせず、スウィングで打って欲しい。余計なことを考えてはいけない。スウィングを考えることだ。素振りを毎晩200回。それを1年。それで何とかなるものです。
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