(千葉県・23歳）

程々で過ごす。それが普通だ。

人の世、普通以上の事をすりゃ、変わり者と言われる。あるいは好意を裏返しに取られる事もありましょう。それで落ち込んでたり、恨んだりしてたんじゃ、心、穏やかに過ごせはしない。穏やかに過ごしたいのならば、人の悩みには突っ込まぬ事。

貴兄の心は普通の心。シブ皮の心。私も貴兄と同じ普通の心で、研修生時代もプロの時代も過ごして来た。私の心のシブ皮が剥け出したのは40過ぎてから。私の許で3人目のプロテスト合格者が出た後の事。

シブ皮、ポロリと剥けりゃ、人に教え、人の成長を眺むるは楽しい。そしてジュニアゴルフ塾の開塾。そりゃ130人もいるジュニア塾生、可愛いと思う性格の子もいりゃ、可愛くないな、と思う子もいる。我儘、自分勝手な子は可愛くないものです。

子は可愛くっても、親の身勝手さに頭さ来る事もあった。自分の子しか眺められぬ親がたまにいる。身勝手さ、傲慢さは3代続く、と私は思う。爺さん、婆さんが身勝手ならば孫の代迄。その身勝手な性分は残る。

爺さん、婆さんの性格は上品なれど、その子が身勝手なら、そっから先の3代。

プロゴルファー生活26年、これ迄、私は多くの人の家庭に出会って来た。プロスポーツ界、人の交流の多さはプロゴルファーがNo1の筈。競技の性格が交流を多くして来たのです。

その26年で知り得た事なれど、身勝手さ、傲慢さは3代続く様だ。そして身勝手、傲慢は3代で消える。

私の父と母は身勝手でも傲慢でもなかった。私は身勝手である。軽い傲慢さも持つ。女房は身勝手でも傲慢でもないが、私がカチンカチンの身勝手、ポコンポコンの傲慢な性分。となれば、孫の代迄、私の作り出した身勝手さは残る事となる。我が不徳の致すところです。

金、残せば、その金が益々の身勝手、傲慢さを子供に与える様になるだろう。財産贈与税の高きを嘆く人はいる。3代で財産は無くなる、と言う。

でも、税率の高さは少なくとも身勝手さ、傲慢さを消してはくれますネ。私は有り難い世の仕組み、人類の作りし知恵と思ってる。

私は働く。まだ、何も残ってはいないが、これから先、残るものも出て来ると思う。長男雅樹、長女寛子に残しはしない。幸いにも現在、20歳になった雅樹、17歳の寛子に傲慢さは出ていない。軽い我儘さ、身勝手さはあります。こりゃ、親の私の躾が甘かったのか、躾のツボを押し間違えたかでしょう。

雅樹、寛子が傲慢になった時、私の身勝手な性分、傲慢な性格が本物だった証明になる。本稿、書きながら、こりゃ大変な事になって来たな、と思っている次第。

今、私は我儘、身勝手な塾生に対して、徹底的にグリップを教え込んでいる。甘やかされた性格の子はグリップ型を簡単に崩す。グリップの握りの正しさを教えることで、何故か我儘塾生は素直で明るい性分に変わって来た。理屈は分からねど、そうなって来たのです。

箸の持ち方、使い方を教えりゃ、子供の性分、変わる、と言う。教育ってのは、指先から始めるのがいい様にも思う。親の身勝手は方向変えてやりゃいいだけ。

私はそれの出来る立場に立つ。子供のそれはグリップで変える事が出来た。今、ジュニア塾は極めて平和。親の身勝手さは消えた。ジュニア塾生の技量レベルは伸びて来ている。グリップは性分を現します。

貴兄の考えは、ごく当たり前の事。己を変える必要はない。聞かれたら答えるだけでよい。

率先してのアドバイスは相手への迷惑事となろう。それは小さな親切、大きなお節介。

ツアーに生きてきた頃、同業者にアドバイスを求められた事はある。親しい間柄でも、その時だけは距離を置いてのアドバイスをした。

お互いに現役、多くを求め、多くを求められても、歪む気持ちはどっかに出て来るものだ。

心境?　何も感じなかった。求められて、１ポイントか２ポイントの理想を言っただけ。

された事はない。今の私はツアー会場へ行かぬ。だから、求められる事はありません。以上－－。