ドローが打ちたい
私は40の手習いでゴルフを始めすっかりとりこになってしまった48歳の男です。貧しい生活費の中から月1ゴルフを楽しんでいます。そんな私、始めてから1年で100を切り、自分は天才かと思って、フェード系の球筋をドロー系に変えようと、いろいろ打ち方を変えたところドライバーが曲がりだし、2年たっても、いまだドロー系の球筋が出ません。そこで塾長、どうか、やさしいドローボールの打ち方を教えてください。
(千葉県・48歳)
筋肉の使い方を変える必要がある
ゴルフ歴5年以上、あるいはゴルフ始めた年齢が30過ぎてる人の球筋変更には一つの認識が要る。球筋を変える方法は幾つもある。方法はあっても共通する認識は一つだけ。ここが大切。使う筋肉を変えなければならぬのです。
スウィングを変えるとゆうのは筋肉の使い方を変える事に他ならぬ。スウィング型だけを変えても、振りや叩きのフィーリングを変えても、クラブヘッドの使い方を変えても、それはスウィングの朝令暮改。悩み、深く長くなるばかりだ。
筋肉の覚えも、動きは外見的な表面変化だけでは消えない。それなら、本当に初心に戻って、スウィング全体作りから始めなければならないか、といえばそれこそ勿体ない話。折角、これ迄、金と時間と情熱を注ぎ込んで覚えて来たものを捨てるのは理に合わぬ。
ほんの少し、体の使い方を変えれば、それで球筋は変わる。下半身だ。
スライスに悩む人の相談を受けた。ゴルフ歴1年4カ月。年齢42歳。職業、農協職員。ゴルフ始めて以来、スライスばっかし。フックボール打った経験ゼロとゆう、純なるお方。
ゴルフ始めて1年の間にフックも打てればスライスも打って来たとゆう、球筋に節操なき人の才能は上等レベル。若けりゃ、プロになれる才能。
大体、どの世界も節操堅固なる人は成功してませんネ。節操堅固とゆうのは、過去に忠実とゆう事でしょう。独創、工夫、常識よりの前進は節操を必死に守ってちゃ出来ないものだ。才能とは節操足りず、の者に宿っている様な気がする。
私の友人で下半身の節操ゼロの者がいる。この者は何の才能も持っちゃあいない。ただの無節操野郎。足りる、足りない、以前の問題。
私の下半身は節操戦堅固。自分でイヤになる程の頑固さが出てしまう。損です。今度、生まれる時は下半身節操ゼロの身で生まれてみたい。面白く、はかない人生が送れると思う。
フックだけ、スライスだけ。1カ月に1度位、ポッと逆の球筋の出ることもある、とゆう人の才能は並。一度も違った球筋を打ったことのない方の才能は並の下。その並の下の相談を受けた。
練習場。下半身、足構えを指導した。まず普通のスタンス。打つ球全部、どスライス。ヘッドが飛行線ラインよりも外から入って来る。カット弧だった。
クローズドスタンスで打って貰った。やっぱし、カット弧。出る球全部、スライス。この時点で私とスライスマンの周りに人が集まり出した。20人程の人でした。スライスマンは顔を赤くしてゆく。人に見られて、緊張したのでしょう。
私は左足を前、右足を後ろ、飛行線に対して左足と右足が直角になるスタンスを取らせた。両足、飛行線に対して一直線。ティアップ球を6アンアンで打って貰った。
トップ位置は左腕地面に平行位置、フィニッシュは右腕地面に平行になる位置。大きく振る必要はない。最初の一球でドロー球が出た。10球打って、7球がドロー球だった。
歓声が湧いた。集まりし人、スライスマンの悩みを知っていたのです。7球目のドローが出た時、スライスマンはガッツポーズを出した。拍手が起こった。次ぎに、右足前、左足後ろのスタンスで打って貰った。10球全部、スライス。
結論が出た。下半身の体重移動が出来ていない。上半身だけの力で振るからスライスが出ている。下半身の使い方を覚えればスライスは直る。練習する時、最初と最後の20球は左足前、右足後ろの一緒直線スタンスで打て、と指示した。
2週間後、干し柿一箱と共に丁寧なる礼状が届いた。普通のスタンスでドローが出る様になった、と。
下半身節操なし野郎と食事した時、この話をした。
「たった10分のレッスンに、干し柿一箱の値打ちがあるんかいな?」
「ある、ある」
「お前のゴルフ理論とレッスン技術は超一流だ。プロ戦績は三流以下だけどな」
「お前近頃、余計な発言が多くなってないか!? 三流以下ってのは気に食わん。せめて三流といえ、三流と。以下は余計だ」
「そう言われてみると、そうだな。最近、新しい女が見つからん。余計な発言が警戒されてるのかも知れない」
「お前の発想は総てがそうか。直らんな、その癖」
「直す気もない。天国迄、持ってくさ女癖の良さは」
ご自愛あれ、と申しておきました。私と同年齢、職業は医師。
貴兄も一直線スタンスで打て。右足前でストレート球が出る様ならば体重移動、上半身と下半身の動きのバランスに関しては理想通りの動きをしている筈。体重移動ってのは、上半身と下半身の動きのバランスで為されるものです。
右足前スタンスでストレート球が打てる迄、左足前スタンスで打つべきだ。筋肉の使い方は変わります。練習の最初と最後の20球でよろしい。それでスライスの曲がり幅は徐々に小さくなって行く。
下半身の筋肉を変える簡単で確実なる方法。それは一直線スタンス打法。お試しあれ。
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