CONTENTS.1
33年の大会史上初
|進学校に通う酒井里奈が
|岐阜オープンクラシック出場
|男子プロに混じって、です

勉強不足でごめんなさい。
酒井里奈さんから岐阜オープンクラシック出場権獲得の報せを受けた夜、「え、それ男子競技じゃないの?」と戸惑い、速攻で大会サイトをあたり「完全なるオープン競技ってことか」と納得。しばらくのち、夜空に向かって拍手しました。お見事!
酒井さんは紅一点、男子アマチュアに混じって予選競技をプレーし、スコア 76(第13回GAG-CUPゴルフ選手権)。岐阜オープンクラシック本戦に進む10人の枠に入りました。使用ティも当然一緒。6784ヤードの設定でした。過去にも参戦した女子選手はいたと大会事務局で聞きましたが、本戦に進むのは、彼女が初めて。
4月9日土曜日の大会開幕を想像すると、痛快きわまりなし。
岐阜オープンクラシックは春先の人気大会で、昨年で言えば藤田寛之、宮本勝昌、谷原秀人、藤本佳則、山下和宏、川村昌弘といったプロたちが参戦し、谷口徹が優勝しています。アマチュアは4つの競技から40人が勝ちあがり、総勢160人の大イベントとなるのです。
群雄割拠する中に美少女降臨、159人の男子選手たちは思わず道をあける……なわけないけれど、あちこちでヒソヒソ話が起こるでしょう。「え……あの子、出場、者、なのか」と。酒井さんは「ふん、見てなさいよね」という思いを秘め、ティグラウンドに立つのであります(って、そんな鼻息荒い女の子ではありません。ちょっとした妄想です)。
ミッシェル・ウィが男子トーナメントに出たときよりも、むしろ意外性があるかもしれません。飛ばし屋のトップジュニアが挑むのとも違うんですね、これ。酒井さんはどちらかといえば“飛ばない屋”であり、バリバリに実績があるプレーヤーでもない。「好きなゴルフだから頑張る」と日々練習する高校2年生で、「授業についていくのが大変」という進学校の生徒なのです。皆様、応援電波、よろしくお願いいたします。

CONTENTS.2
岐阜オープンは4/
9(土)~10(日)
|長いパー3は
|もしかしたらドライバー?
|女子高生6900ヤードに挑む
酒井里奈さんと電話で話しました。
―――声が弾んでますね。
酒井 うれしいんです、ホントにうれしくて!
―――素晴らしいね、6784ヤードの18ホールで76とは。一緒にプレーした選手たちの反応は? 他に予選通過した人いました?
酒井 同じ組で通ったのは私だけでした。皆さん、「ビビるぅ~」とかおっしゃって(笑)。
―――もしかして夏のGDジュニア以降、少し球が飛ぶようになったとか?
酒井 飛んでないです(笑)。セカンドが届かないパー4も数カ所ありました。
―――そこ、パー?
酒井 はい、パーとりました。打ち上げの長いホールでは30~40ヤードショートしましたが、なんとか寄せて。それくらいの距離が残るだろうな、と思い練習していたんです。
―――傾向と対策、ってやつですね。受験勉強みたいだ。
酒井 岐阜オープンも今回の予選と同じ各務原CCでやるんですけど、練習ラウンドしたときにはどのティを使うかわからなかったので、一番うしろでやったんです。もしも長いパー3でそのティグラウンドになったら、ドライバーで打つことになると思います。
―――なかなか綱渡りですね。スコアは精一杯? 本戦は6900ヤード前後でしょう。
酒井 うまくいったらあと1、2打減らせる可能性はありますけど……パープレーは無理です。アマチュアのカットラインがあるんですよ。
―――去年は、アマチュアの場合77まで、か。しかし、ゴルフの本気度を上げたのは、この春からと言ってましたよね。練習時間を増やすべく、お母さんと長い話し合いをした、と。
酒井 はい、高校1年のときは、授業についていくために勉強に追われ、ゴルフに気持ちも時間も割けなかったんです。でも、こんなにゴルフが好きなのに中途半端になっちゃいそうなのが悲しくて、通学時間は真剣に勉強する場、といった決め事をして、ゴルフに少し寄せました。
―――学校ではどんな反応がありました?
酒井 教頭先生が応援してくださっているんです。掲載された新聞を持って報告に行ったら、タブレットを持ってきて何枚も写真を撮って、すごく喜んでくれました。1年生のときはいい報告ができなかったから、私も、ああよかった、って。
―――いつも1打2打の争いをしている“身近なライバル”妹さん(酒井優菜、中3)は?
酒井 お母さんとクルマで家に着いたら、車庫まで飛び出してきて「オネーチャン!!!」って目をウルウルさせていました。あんなに喜んでくれるなんて。
―――仲良し姉妹だなぁ。この成功体験を大切に、迷わず進んでくださいね。
酒井 はい、春になるのを楽しみに、頑張ります!
昨年の岐阜オープンクラシックでも、高校生の活躍は素晴らしかった。
ベストアマ 岡崎 錬(福井工大福井高2年) -1
セカンドアマ 横井 優星(福井工大福井高2年)+1
サードアマ 上田 敦士(東海高3年) +1
上田くんはやはり進学校の生徒で、今は大学受験にまっしぐら。文武両道を行くジュニアゴルファーがあちこちで頑張っています。頼もしいかぎりではありませんか。
