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ゴルフの「ギリギリ」
|昨年プレーオフで惜敗。
|初タイトルを目指す
|小倉ひまわりさんと話した

昨年の15歳~17歳の部は、男女ともプレーオフ。女子2位となった小倉ひまわりさんは、想いを胸に、今年も大会にやって来ます。
あの日、試合をおもしろくしたのは、小倉さんでした。
最終3日目の5番で首位・林菜乃子さんに追いつき6番で逆転。9ホールのスコアはなんと33でした。気迫のプレーとはこのこと。その時点で2打差のトーナメントリーダーになっていました。その後、ボギー、ダボと続けて落とし再逆転されるのですが、接戦は続きました。
すると、17ホール目で事件が起きたと報せが! 林菜乃子さんが池に入れた、と。ボギーVSバーディ。1ホールを残して2人は並んだのです。クラブハウスには、興奮が広がりました。実力者のぶつかり合い……3日間競技に延ばした答はこれなのか、と。

―――接戦のなか、裾野8番(17ホール目)でバーディとはさすがです。
小倉 菜乃子ちゃんが池に入れるとは思ってもみませんでした。一方私は、あのパー5でバーディを取って負けたなら、もう仕方ないという気持ちでプレーしていました。
―――最終ホールでいいティショットが新設のバンカーに入り、これは残念と思っていたら、平然とパーを取りました。見事だなぁ、と。
小倉 平然とじゃないです(笑)、内心ドキドキでした。右手前からのアプローチはラフからでしたが、ライが良かったんですよ。チップインも!? って気持ちもありましたけれど。
―――失敗したらどうしよう……という方には転ばないんですね。大したもんだ。
小倉 でもプレーオフでは、そうは行きませんでした。菜乃子ちゃんは前年もプレーオフで勝っているし、自信あるだろうな、とか考えて……。
―――それでティショットを右に打ってしまったわけですか。奇しくも2014年に林菜乃子さんが打ってしまったのと同じ位置なんですよね。小倉さんとのプレーオフでフェアウェイをとらえた彼女によれば「今回は、なにがなんでも脱力して打ってやる」と誓いのショットをしたそうです。それもあって、ふだんより1クラブ飛んでいませんでした。
小倉 そうなんですか。
―――それでも小倉さんのパーパットもギリギリ外れたんですよね。あれが入っていたら展開は変わっていたのかもしれません。野次馬的な見方ですけれどね。
小倉 菜乃子ちゃんはバーディですから……でも私のパットが入っていたら少し違っていたのかもしれませんね。
―――林さんの下りのパットは、通常は入るようなラインではなかったと思います。ひと転がりが勝敗を分けたのを目の当たりにしました。
小倉 そういうギリギリの決着、ゴルフではよくあるんですよね。
―――それをゴルフダイジェストの大会で見せてもらえて、ありがたい思い。緊張する場面でも力を出せるところまで練習してあるんでしょうか。
小倉 えー!? 私は緊張しいだし、いつもドキドキです。あ、でも学校で発表するようなときとは違うかもしれません。アガってしまって頭の中、真っ白になるんですよ。ゴルフでは、心臓の音がハッキリ聞こえます。
―――ドクンドクン、いってるの?
小倉 はい、凄いですよ。
―――その音を冷静に聞いているんじゃないですか、それ?
小倉 確かに、焦っているわけでもなく、嫌な気分でもなく、この状況おもしろいって感じていますね。スコアを記入するときに鉛筆を持った手が震えたりもするんですよ。あぁ震えてる、って思うかな、そういうときは。う~ん、結構冷静ですね、私(笑)。
―――恐れ入りました。それでもプレーオフのティショットが曲がってしまうものなんですね。
小倉 明らかに相手を気にしすぎて力んでいました。しかも18ホール・プラスアルファのプレーなのに、1ホール目みたいな気持ちで入ってしまいました。
―――どうやら、一般のゴルファーが知らないゴルフのおもしろさを味わっているんですね。将来が楽しみ。さて、今大会、どうしますか?
小倉 ホ……ントに勝ちたいです。私、中学2年のときにもプレーオフで2位だったし、4位とか6位とか。行ききれていないんです。まずは、3日ともアンダーパーで回りたい。そうしたらチャンスが出てくると信じます。
