ALDILAは、何を隠そう2012年度のPGA TOURで使用率ナンバーワンを獲得しているシャフトメーカー。これまで日本ではギア好きのゴルファーにしか知られていなかったALDILAだが、このたび「TOUR BLUE JV」と「TOUR GREEN JV」という新モデルが登場し、日本でも本格展開されることになった。これらの新シャフトはJV(ジャパン・バージョン)という名が付いていることからも分かるように、日本のゴルファーにフィットするように特別にチューニングされたモデル。硬すぎてしなり感に乏しいという、一般的なアメリカ発のシャフトイメージを一蹴する性能に仕上げられている。
「TOUR BLUE JV」と「TOUR GREEN JV」の2モデルを試打して最初に感じたのは、これまでのALDILAのシャフトになかった振りやすさでした。日本仕様にアレンジされているだけあって、しなり感はしなやかです。けれど、それでいてシャフトが出しゃばらない。それが日本のシャフトにはないALDILAならではの特徴でしょう。
2つのモデルではしなり感、得られる球筋が異なるのですが、共通しているのは自分でしっかり振ったときにシャフトが補正能力を果たしてくれるところ。シャフトがゴルファーのスイングを邪魔することなく、ゴルファーにクラブを振ることを楽しく感じさせてくれます。また、重量帯を変えてもシャフトの挙動が変わらないのも長所です。ドライバーからショートウッドまで、同じシリーズで重量帯を変えて使っても違和感なく振れることができます。
近頃は、シャフト自体のコスメにこだわって使用シャフトを選ぶゴルファーも多いですが、ALDILAの2つのモデルはシンプルでいてポップな雰囲気。デザインに関しても日本仕様になっているそうです。手元側にはレーザーエッチングで加工が施してあって立体的になっています。デザインも手が込んでますね。ひとと違ったギアを使いたい人にはピッタリではないでしょうか。
ダウンスイングの切り返し後に中間部分がクッとしなり、ハーフウェイダウンから自分のスイングスピードに合わせてゆっくりとしなり戻る。全体的にクセのない挙動ですが、インパクトでは構えたところにスッとヘッドが戻ってきてくれる感覚があります。素直なしなり感で扱いやすく、それでいて球のつかまりを少し補正してくれるタイプのシャフトです。
このシャフトの長所は、インパクト付近でヘッドがレベルに動いてくれるところ。球のつかまり重視で開発されているシャフトは、インパクトでフェースが下を向いてしまい、その結果として左に巻き込むようなチーピンが出がちです。けれど、この「TOUR BLUE JV」ならそんな心配がありません。
大型ヘッドのドライバーに合う、ほど良いつかまり感。フェードヒッターが使っても分厚い当たりのパワーフェードで飛ばせます。また、余計な動きをしないので、これから上達を目指すゴルファーにもぴったりです。ゴルファーのスイング力を上げてくれるシャフトとも言えますね。
切り返しでグリップの下部分がグッとしなり、スイングのパワーをシャフトが溜めてくれて、滑らかで静かな切り返しを増長してくれます。挙動的には典型的な元調子シャフトですが、ハーフウェイダウンからは、しなったシャフトが素早くしなり戻ってきます。スピード感を備えているのがこのシャフトの特徴です。
シャフトの先端部分が硬いので球がつかまりすぎることなく、高さを抑えた中弾道で飛ばしていけます。そのうえフィニッシュまでクラブを加速させながら、ズバッと一気に振っていける。手元調子でありながら、これほどスピードを上げて振っていけるシャフトは珍しいですね。元調子シャフトにはダルさを感じるタイプもありますが、このシャフトであれば素早く振っていくことが可能です。
ヘッドスピードや組み合わせるヘッドに関係なく、切り返しでのタイミングの取りやすさを求めるゴルファー、フェースコントロールに長けていてゴルファー全般が扱いやすさを感じられるシャフトです。手元調子で安定感を得たいけど、走り感もほしい。そんな欲張りなゴルファーにぴったりのモデルです。
TOUR BLUE JV 65(S)と迷ったのですが、決め手になったのはTOUR GREEN JV 55(R)の切り返しでのタイミングの取りやすさです。インパクトではオートマチックにヘッドが戻ってきてくる感覚があって、実際の球筋を見ても方向性と高さが安定していました。TOUR BLUE JVだと60グラム台のSが良かったのですが、TOUR GREEN JVの同スペックだと少しハードな印象です。ラウンドを通して使うことを考えると、僕にはTOUR GREEN JV 55(R)がちょうど良かったです。
クセがなくて、スムーズに振っていけるシャフトです。シャフトが球をつかまえてくれるのですが、思ったほど左には行きません。持ち球のドローで気持ちよく飛ばすことができました。フレックスはRでも結構しっかりしていますが、このシャフトならチーピンが出ない安心感があるので振っていきたくなります。それを考えてフレックスはS。普段は元調子のシャフトを使っているので、TOUR GREEN JVの球を押し込める感覚も魅力でしたが、右へのミスを消せる安心感から最終的にTOUR BLUE JVを選びました。
先端部分のほど良い剛性が、高弾道、最適スピンで飛距離を向上。振りやすさを追求した一本。 |
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先端部分の高い剛性が、低打ち出し、低スピンで強弾道を生む。安心して叩ける一本。 |
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撮影協力: 石岡ゴルフ倶楽部 / エンジョイゴルフ&スポーツジャパン「弾道解析機 GC2」