


仕事を早めに切り上げ、都内の行きつけのゴルフ練習場へ向かう。前々から「ラウンドに連れていって!」と彼女に頼まれていたのだが、やっと予定を合わせることができて、明日一緒に回ることができる。今日は直前レッスンをしてほしいとせがまれた。「前日に打ち過ぎるのはよくないよ」と言いかけてやめた。せっかく一緒に過ごせる時間を減らすことはない。それにしても、丸一日よく働いた。そんな身体にとって、ジャガーXJRのインテリアは癒しの空間だ。特に気に入っているのは、乗員を囲むようにあしらわれたピアノブラックのパネルと、極上の座り心地のレザーシート。レッドとダークグレーのコンビネーションシートも最初は派手すぎかなとも思ったが、今では大好きだ。
“生徒”にいいところを見せるべく、先に少し打っておきたいと思ってジャガーXJRを飛ばした。普段は混み合った都心でこのクルマのラグジュアリー・サルーンとしての側面を味わうことが多く、それはそれで気に入っているが、たまにダイナミックモードのスイッチを入れ、アクセルを少し深く踏み込むことがある。踏んだ途端に、獰猛な一面が顔をのぞかせる。XJRの「R」の部分が表に出てくるのだ。
510psを誇る5リッターV8スーパーチャージド・エンジンの実力を出し切ることができる一般道は残念ながらこの国にはないが、マルチシリンダーの大排気量エンジンをさらに過給することでしか得られない圧倒的なトルク感は、日常的な速度でも“余裕”として味わうことができる。そういえば仕事でもゴルフでも余裕のある者が勝つな……そんなことを考えているうちに練習場に到着した。



彼女のクルマがまだ見当たらないことを確認しながらキャディバッグをおろす。XJRには常にキャディバッグを積んである。本当は毎回おろしたほうがいいのだろうが、急に空いた時間に練習したいし、XJのラゲッジスペースは広大なのでつい積みっぱなしにしてしまうのだ。キャディバッグを肩にかけ、少し離れた位置からクルマを眺める。本来、XJはいかにも英国風のアンダーステートメントな魅力をもつが、XJRの場合、ブラックアウトされたフロントグリル、必要最小限の空力パーツ、4本出しマフラーエンドなど、どれも控えめながらこのクルマの実力を受け止めるのに必要な専用パーツが加わって、独特の迫力を醸し出す。
準備をするうち、彼女が到着したようだ。軽い練習でいい汗をかいて、旨いものでも食べてぐっすり寝て、明日に備えるとしよう。
「やあ、早かったね!」
JAGUAR XJR
¥17,430,000(車両本体価格)
4999cc V8 スーパーチャージャー付 最高出力510ps/6,000-6,500rpm
全長5,200mmx全幅1,900mmx全高1,455mm
XJ:¥9,260,000~¥18,870,000 http://www.jaguar.co.jp/index.html