1ラウンドでパターの打数が占める割合は、2分の1~3分の1といわれます。パッティングが大事といわれるゆえんですが、決まらなくなると悩みも複雑で、パターを替えてみたり、握り方を変えてみたり…。そんなときに注目してほしいのが、パターグリップです。
ゴルフプライドから誕生した『リバーステーパー』は上部がスリムで下部に向かって太くなる、いわば逆テーパー型。カリスマフィッターの鹿又芳典さんにパターグリップの最新事情と重要性に合わせて、“逆テーパー太っちょグリップ”の長所を聞いてみました。
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01
パターグリップが
太くなってきたワケ

ゴルフプライドのパターグリップ。ツアー選手も愛用する細いタイプから太いタイプまでバリエーションは豊富だ
- ― そもそも、パターグリップは変化している?
- ここ数年の傾向でひとつ、絶対的に言えることはグリップが太くなったこと。昔はスタンダードというと、タイガー・ウッズが愛用していたピンのピストル型に代表される細いグリップでした。それからだんだん変わってきて、いまのスタンダードは、10年前ならミッドサイズとかラージサイズと言っていたぐらいの太さになっています。
- ― なぜ、太くなってきたの?
- パターヘッドが重くなったことやマレット型などパター形状が多様化したことから。慣性モーメントが注目され、ヘッド自体の動きにくさに相対して、パターグリップが変化しました。ゴルフクラブ14本のなかで一番大きく変化しているのがパターグリップなのです。
- ― 現状はどうなっているのでしょう
- パターのカテゴリーでは、マレット形状が7割~8割と主流になっています。プロのトーナメントでもほぼ同じような比率です。大きくブレード型とマレット型に分けると、圧倒的に高慣性モーメントのマレット型パターを使っている人が多いです。
- ― マレット型が主流になってきた理由は?
- パッティングは感性のゲームです。なので、フィーリングに重点をおいてクラブを選ぶ人がいます。その一方で、パターの解析システムも進化し、ストロークや弾道が解き明かされてきて、パッティング理論も出てきています。そんななかでマレット形状の方が再現性の高い弾道が出るから、結果的にパッティングストロークしやすいパターとして主流になってきています。
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02
パターグリップがフィットすれば
ストロークが向上

密着できるグリップの一番の利点は手の感覚とヘッドの向き(フェース)の一体化
- ― では、グリップの役割とは?
- あくまでもストロークの再現性を高くすることと、自分のフィーリングに合うようにすること。この2つを両立するのがグリップの役目です。ただ、パターはゴルフスイングのなかでも一番、グリップや構え方が千差万別です。
- ― 確かにグリップを腕にくっつけたり、クロスハンドで握ったりいろいろです
- それは自分がやりたいストロークの再現性を高めるためのアドレスなのですが、アドレスが変わるということは握り方も変わります。だから、その握り方に対応できるようにグリップの種類、すなわち太さや形がたくさん用意されています。自分の握り方に対してフィットするグリップを探してあげることが、パッティングのストローク向上には絶対に必要なのです。
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03
リバーステーパーを初めて
握ったときは「驚きだった」

鹿又さん自身が選んだのは「フラット」のミディアム。理由は「握りやすかったから」。グリップの握りやすさは人それぞれだ
- ― グリップの太さや高い再現性といった背景もあって誕生したのがリバーステーパー
- いままでこういう形状を主流にしているグリップはありませんでした。初めて握ったとき、手とグリップの密着度、つまり空間がなくて密着する感覚は、驚くぐらいフィット。すぐに試したいと思いましたね。
- ― 昨年11月の「ZOZOチャンピオンシップ」の時は触らせてもらっただけだったとか
- ようやく発売されて、このグリップを細かく見たとき、重量もよくできているなと思いました。この太さに対しては軽め。通常のパターグリップだと太くなれば重くなりやすいけど、これは、この太さでありながら、平均的なグリップ重量(約60g)。だから、クラブ全体のバランス、長所を殺すことなく、グリップの密着度があって操作しやすい仕上がりになっています。なおかつ、3種類の形状★が用意されているので、より自分の手にフィットするものを探しやすくなっています。
★3つの形状と2つのサイズ

リバーステーパーはポリウレタンを採用し、適度な柔らかさ、触感、重さを実現。感触はソフトながら、トラクションを高めるためのディンプルパターンが全体に施されている。3種類のモデルでそれぞれミディアムサイズとラージサイズがある。コアサイズは58R。重量は61g~64g。

左からピストル型、フラット型、ラウンド型
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ピストル型
クラシックなピストル型で、グリップの上部を握る手を安定させるのに適している。クロスハンドグリップのゴルファーにも人気。
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フラット型
グリップの上部がやや楕円形になっているデザイン。パターを握るときに両手のひらを重ねるようなグリップスタイルに適している。
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ラウンド型
あらゆる手の握り方に対応するモデル。典型的なラウンド形状の上部から下部へとだんだん太くなるデザイン。
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04
自分の手の感覚とパターヘッドの
動きが同調しやすい


- ― リバーステーパーならではの特長は
- (右手を下側に握る場合)右手の部分が太いから持ったときに邪魔になる部分がなくなるんです。密着して遊びの部分がなくなるから、より自分の手の感覚とパターヘッドの動きが同調しやすくて、動かしやすく感じます。パターというのは、右手がスムーズに動いていたら気持ち良く打てますから。
- ― 合う、合わないはある?
- 手の大きさやストローク、グリップの仕方など人によって違うので、実際に試した方がいい。ただ、試してみるというのは、グリップをすることではなくて、ラウンドしてストロークすること。ゴルフ場でラウンドしてストロークするとフィーリングが変わることが多々あります。試合などでは日によって、違うグリップの違うパターを使う人もいます。それぐらい人間の感覚は一定ではないのです。
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05
グリップを替えて
結果にコミット

- ― ヘッドやシャフトと比べても確かにグリップは安価ですね
- 自分にとって太いのがいいのか、細いのがいいのか、重いのがいいのか、軽いのがいいのか、どんな形状が握りやすいのか。グリップはゴルフクラブのなかでも、一番安価に交換できるパーツなので、いろいろ試して自分に合うグリップを見つけることが、パッティングのアベレージ向上のためには絶対に不可欠です。
- ― グリップを替えて期待できる効果は?
- グリップが良くなると、思った通りに動くのでショートパットの方向性と距離感が安定します。この2つはパッティングの中ですごく大事な部分。それが向上したらストロークが向上します。パターの調子が悪くなったときによくやるのが、自分のストロークを変える、パターを替えるという2つですが、パターのグリップを替えるとすごく結果にコミットしやすいと思います。一番安価にできる方法なのでトライしてほしいですね。

鹿又芳典(かのまた・よしのり)
ゴルフショップ「Magic」の代表を務めるクラブコーディネーター。クラブ解説の第一人者として、ゴルフ雑誌やゴルフ専門チャンネルなど数多くのゴルフメディアでも活躍中。
協力:総合ゴルフ練習場 ジャパンゴルフスクール
(千葉市若葉区加曽利町1482-1)
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