編集長からの厳命(役得?)を受け、まず向かったのは、中部利三郎が創設した下関GC。華美に飾り立てず、自然と調和し、しっとり落ち着いた雰囲気に包まれています。1番ティに立つと、シーサイドコースらしく海からの風が吹いている。「今日は弱いほうです」とキャディさんは言うけど……。とはいえ、ナイスショットには報酬が用意されている。「ゴルフって頭を使うスポーツなんだ」ということが、改めて思い知らされます。
傷心を博多グルメに癒された翌日は、屈指の難関「古賀ゴルフ・クラブ」へ。うねるフェアウェイと威圧的な黒松、アリソンバンカーに小さなグリーン。コースには、草創期の空気が充満しています。そして純粋(?)な合宿メンバーの球は、設計者の意図通り、バンカーやOBに吸い込まれていきます……。
古賀のグリーンは創立以来、数回の大改修が施されてきた。もとは高麗グリーンだったが、平成6年、レギュラーグリーンにベントを採用。床構造をサンド化し、当時あまり採用されていなかった全自動スプリンクラーを導入。さらに10年後、床構造をUSGA方式に変更し、平成23年にはサブグリーンにバミューダ芝を採用。おかげでグリーンは超速。高くてスピンの効いた球を……練習あるのみ!
翌日は、今回の旅の最後となる門司ゴルフ倶楽部へ。まず驚かされるのが、豪奢なクラブハウス。帝国ホテル建設の際、フランク・ロイド・ライトとともに来日し、日本の建築界に多大な影響を与えたというアントニン・レーモンド設計のハウスは美しいのひと言。心なしかスタートホール(1番)の風も穏やかだし、いいスコアが出そう?
シンプルな美しさと骨太な難しさが際立った下関、古賀に対し、門司はどことなく華があり、見た目の変化も豊か。男性的な下関、古賀に対し、門司からは女性的な印象を受けました。とはいえ、女性が優しいかと言うと、世の中、甘くなく……、こちらも玄界灘からの風とアリソンバンカー、砲台グリーンは健在。頭脳と技術を総動員した濃い3日間となりました。
3つの名リンクスをラウンドして感じたことは、ゴルフの難しさとコースの美しさ、そして本気で臨んだ充実感。安易に狙えば「練習してから出直しなさい」という言葉が聞こえそうなしっぺ返しを食らい、まぐれを許さないシビアさがある。
しかしなぜか喜びを感じてしまうところに、上田治が玄界灘に描いたリンクスランドの素晴らしさが潜んでいる、のかも。
上田治設計のリンクスといえば、何度もお伝えしているようにバンカー!アゴの高さはともかく、3コースとも、とにかく「入れちゃいがち」な場所に配置されているんです。砲台グリーンと相まって、ティーショットがうまくいっても、セカンド地点から見るグリーンの景色は、大体が「逃げ場なし」状態。コーライの硬いグリーンへ、高くスピンの効いた球で止め……られるわけのない我々取材班の球は、打てども打てどもバンカーへ。家に帰ってサンドウェッジを見てみたら、フェースの溝とバンスが、かなり削れていました。
関東ゴルファーに馴染みは薄いですが、西日本の定番と言えば、お茶屋さんのおでん。おでんって地域性が結構出るもので、当然のように食べているタネやダシが、地域によっては「えーっ!?」なんてことも。九州で言えば、馬すじ、大豆モヤシなどがご当地タネでしょうか。砂糖やみりんが効いた甘目のダシも特有ですね。そして夜は博多グルメ!ジモティも通い詰めるという地元の名店「もつ幸」さん、ウマし。マンガ内でも触れていますが、ゴマを大量にかける〆のちゃんぽんは、カルボナーラのような濃厚さで絶品でした。