1972年生まれ、大阪府出身。米国にゴルフ留学しながら独自の理論を構築。97年に帰国後、03年よりプロコーチとして活動を開始。15年には日本プロゴルフ協会(PGA)の最終プロテストを2位で通過し、43歳でツアーデビューを果たした。
バンカーショットが変わる!
ラインの出しやすさもスチール以上
アイアンやウェッジ専用のカーボンシャフトが浸透する中で、
グラファイトデザインから新ブランド『RAUNE』(ラウネ)シリーズが登場した。
球が上がりやすいことはもちろん、コントロールショットや
バンカーショットなどのシーンでも高い性能を実感できるという。
中井学プロとアマチュア2人がラウンドで試し、そのポテンシャルを検証した。
商品の特徴
カーボンの設計自由度を生かして
番手ごとの最適弾道を実現
フラッグシップモデル『ツアーAD』が多くのツアープロに支持されていることで、ハードルの高いシャフトメーカーという印象を持つゴルファーは少なくないだろう。そんなイメージを払拭する『RAUNE』シリーズは、ハイブリッド、アイアン、初展開のウェッジ用と幅広いラインアップを用意。『ツアーAD』とは異なる積層方法や素材を採用し、各番手で最適な弾道を打ちやすい設計が施されている。
FOR WEDGE
ウェッジ用
小さな振り幅でも最大限のスピン量に変換
シャフト外部に「低弾性ピッチ系カーボン」を使用して全体の剛性を抑制。小さな振り幅でもエネルギーを最大限のスピン量に変換できる。シャフト深部には高弾性材料を採用。大きな振り幅でもしっかりと振り切れる。
FOR IRON
アイアン用
コントロール性と振り抜きを重視
番手ごとに積層パターンを変えて特性を最適化。ショートアイアン用は先端部の動きを抑えてコントロール性を重視。ロングアイアン用はバランスポイントを手元側にすることで振り抜きがよく、球が上がりやすい。
FOR HYBRID
ハイブリッド用
球のつかまりと力強い高弾道を実現
ロングアイアン用と同じく、バランスポイントを手元側に設定してスムーズな振り抜きを追求。シャフトの先端部から中間部にかけては、しなり戻りを感じやすい設計に。ラクに球がつかまり、力強い高弾道へと導く。
試打インプレッション
テスタープロフィール
1972年生まれ、大阪府出身。米国にゴルフ留学しながら独自の理論を構築。97年に帰国後、03年よりプロコーチとして活動を開始。15年には日本プロゴルフ協会(PGA)の最終プロテストを2位で通過し、43歳でツアーデビューを果たした。
平均スコア80/ドライバー平均飛距離260y/ヘッドスピード46m/s
競技ゴルフの出場経験も多いアスリートゴルファー。ウッド以外のシャフトはスチール派。
平均スコア100/ドライバー平均飛距離220y/ヘッドスピード42m/s
アイアンは普段からカーボンシャフトを使用。バンカーショットに苦手意識を持っている。
バンカーショット編
スチールよりも断然ラク!
バンカーショットで性能を実感
「ウェッジはスチールシャフト」と当然のように考えているゴルファーに試してほしいのが『RAUNE』です。最も明確に性能の高さを感じられるのがバンカーショット。「砂を薄く取る」「厚めに取る」というコントロールが非常にしやすく、バンカーショットが驚くほど簡単になります。
「重量系スチールシャフトの方がスイングや打点が安定する」というイメージがあるかもしれません。実はスチールはカーボンに比べて軟らかく、ネジれやすい素材。つまり、スイング中にトウダウンや、意図しない挙動をすることがあり、インパクトがブレることがあるのです。
その点、『RAUNE』はカーボンという素材の特性を生かしながらピーキーさを消し、プレーヤーの意図通りに動くように設計されているモデル。スイングの微妙なズレが命取りになるバンカーショットでも、インパクトが安定して容易に脱出できるわけです。
シャフトが自然に間を作ってくれるから
打ち急がなくなる
一番感動したのはバンカーショットでした。クラブを上げて下ろすだけで、簡単に脱出できる。普段は120g台のスチールを使っていますが、力の入れ具合やタイミングがズレると、砂を多く取りすぎてしまうことがあります。『RAUNE』はシャフトが自然に間(ま)を作ってくれるから、スイングが安定して打ち急ぎや力みによるミスが出ません。バウンスがしっかり当たり、砂を取る量が一定になるんです。
こんなに柔らかい球が打てるなんて!
バンカーの苦手意識を克服
昔からバンカーショットに苦手意識がありました。砂を多く取りすぎて一発で脱出できなかったり、逆にトップしてホームランになったり…。しかし、『RAUNE』を試してみると不思議なくらいヘッドが軽く抜け、ボールがフワっと上がりました。バンカー嫌いの私にとって、バンカーから柔らかい球を打つのは憧れでしたが、理想の球を打つことができました。
アプローチショット編
スピンを利かせた低い球を打てるから距離感が合う
2人のアマチュアゴルファーが感じたように、バンカーからラクに脱出できるウェッジ用『RAUNE』は、アプローチショットでもその性能を発揮してくれます。
フルショットやコントロールショットがイメージ通りに打てるのはもちろんですが、驚いたのはグリーン周りのスピンが効いたアプローチ。従来のカーボンシャフトは、打ち出しで球が浮いてしまい、スピンコントロールがしにくいケースがありました。
しかし、『RAUNE』は低く打ち出して「ツツツッ」と止まる球を打ちやすく、距離感を出しやすいんです。小さく正確にクラブを動かさければいけないシチュエーションでも、意図通りにスムーズに動いてくれます。
バンカーと同じようにリズムが崩れにくく、アプローチ時のスイングが安定しました。
インパクトで球がフェースに乗っているフィーリングがあり、小さな振り幅での距離感が安定します。グリーン周りでのダフリやトップを減らせそうです。
アイアン編
カーボンシャフトの従来イメージを変える低弾道の打ちやすさ
アイアン用『RAUNE』の特長のひとつは、ロングアイアンでも球が上がりやすいことです。しかし、球が上がるモデルは、アゲンストの風が強いときやラインを出したいときなどの抑えて打ちたいシチュエーションでも、球が浮いてしまうケースがあります。
その点、『RAUNE』はパンチショットやノックダウンショットを打つときに、自分のイメージした高さに弾道を抑えることができました。
球を高く上げやすいカーボンシャフトのメリットを生かし、低く抑えにくいデメリットを排除したモデル。そんな印象を受ける性能を秘めています。
アイアンらしい
スピンが入った美しい弾道が打てる
自分が使っているアイアンよりも球が上がり、1.5番手以上は飛んでいると思います。単純に飛ぶだけでは使いたいとは思いませんが、しっかりスピンが入り、アイアンらしい弾道で飛んでくれる。飛距離を稼ぎながらも、上からターゲットを狙える球筋なので、実戦で武器になりそうです。
ロングアイアンでも球が上がるから
飛距離の階段がそろう
アイアン用でも適度なしなりを感じられました。切り返しで打ち急ぐことがなくなるので、スイングリズムが安定します。ロングアイアンではラクに高い球が打てるし、ショートアイアンでは精度の高いショットが打てました。番手ごとに適正な距離が打てるのは大きな魅力ですね。
ハイブリッド編
優れた操作性と逆球が出ない安心感がある
アイアン用と同様に、ハイブリッド用にも操作性の高さを感じました。しなりすぎず、硬すぎない絶妙なフィーリングで再現性の高いスイングができるため、ラフや傾斜地でも、安定したショットを打つことができます。
また、長いクラブほどシャフト挙動が大きくなりますが、『RAUNE』には余計なネジれが生じないため、逆球が出ないのもポイント。左のミスを警戒せず、安心して振り切ることができるのは、中上級者には嬉しいポイントですね。
総括
高精度の球がラクに打てて
体にやさしい打感も魅力
そもそもカーボン素材には、スチール素材よりも個体差が少なく、製品に均一性があるという特徴もあります。例えば、スチールシャフトを使っていて「6番アイアンだけ、なぜかうまく打てない」と感じることはありませんか? それは、製品にバラつきがあり、同じフィーリングで振れないことが原因かもしれません。ハイブリッドからウェッジまで幅広いラインアップがそろう『RAUNE』なら、全ての番手にわたり、同じ感覚で心地よくスイングできるでしょう。
また、カーボンシャフトはスチールシャフトに比べ、インパクトの衝撃が少なく、体の負担が少ないのも魅力。ヒジや腕をケガした経験のある私には、この点も大きなポイントです。これからのゴルフ人生を考える上でも、ラクに高い精度の球が打てる『RAUNE』は選択肢から外せないモデルです。
スイングをシンプルにしてくれる
画期的シャフト
“上げて下ろすだけ”で簡単にバンカーから脱出できたように、スイングをシンプルにしてくれるイメージを持ちました。ハイブリッドやロングアイアンはラクに球が上がり、ショートアイアンやウェッジではイメージ通りの弾道をスムーズに打つことができる。このシャフトなら、ストレスなくゴルフができ、スコアが安定しそうです。
カーボンシャフトのイメージが
激変しました!
純正シャフトは軟らかすぎて、リシャフト用は硬すぎる――。今までのカーボンシャフトは、両極端のモデルしかないという印象がありましたが、イメージが変わりました。ハイブリッド用、アイアン用でも性能の高さを感じましたが、一番の驚きはやっぱりウェッジ用モデル。バンカーショットには、カーボンシャフトが一番ですね!
スペック