オニコウベゴルフクラブは、スキー、テニス、フィールドアスレチックなど、通年型の総合リゾートのなかにあるゴルフ場である。したがって、「ゆったりと自然の中で遊ぶ」というリゾート全体のコンセプトを継承した施設である。クラブハウスも当然、このコンセプトのもとに設計された。
山岳リゾートとして、スイス・シャレー風の佇まいのクラブハウスは、表玄関から廊下でつながった左右に2つの棟からなっている。
表玄関を入ると、正面にコースと周辺の山々といった眺望が開ける。来場ゴルファーは右のフロントへと歩を進める。この建物の特徴である高い天井と力強い太い柱、そして、近在で採れる鳴子石の壁とのマッチングが非現実の世界を作り出す。「上品で華美にならないことを第一に考えたことです。ゴルフが好きな人たちが集う場所として、落ち着きがあることも必要だろうと。その意味でも、木のぬくもりと茶系統のシックな色調の山小屋風の感じを大切にしています」(同GC事業推進役・田中浩史氏)
木と石の調和による自然との融合は、ゴルフ場全体のテーマでもあるらしく、各ホールのティグラウンドにあるホールレイアウト図もアウトは木に、インは石に描かれている。
ロビー・ラウンジで象徴的なのは、フロントが小さく、反対にラウンジにはいくつものソファが置かれていることだ。まさに、山岳のリゾートホテルのような雰囲気がある。浴室はオーソドックスなだけに、くつろぐのは、ラウンジやレストランと考えた方がいいだろう。
だが、もう一つの棟であるレストランは、非現実性のコンセプトの裏に非常に現実的な機能性を持ち合わせている。「ゴルフ場の営業は、4月中旬から11月下旬になります。その間、夏場だとゴルフ以外のお客様も入ることもありますし、冬場のレストラン営業も念頭にありました。ですから、空調は独立していて、レストランの方は冬用にもなります。レストランにある暖炉はゴルフ場の営業期間の4、5月や10月以降でも使っています」(同GC事業推進役・田中浩史氏)
暖炉のあるハウスはいくつもあるが、レストラン中央にあって、営業期間の半分近く、使用しているという例は少ないだろう。さらに夏場は、屋外のテラスでバーベキューなども楽しめる造りとなっている。リゾートライフが満喫できる機能性。単なる形だけの非日常ではない寛ぎを提供できるハウスである。