出会いからイノベーションが生まれた Sansan株式会社富岡圭共同創業者/取締役/CRO×JGTO青木功会長スペシャル対談

※本インタビューは、2021年に実施したものです

福岡・芥屋ゴルフ倶楽部を舞台にした「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント2021」は国内男子ツアーとしては久々に有観客で開催され、ギャラリーに感動を与えて閉幕した。初めて特別協賛社となった営業DXサービス等の企画・開発・販売会社「Sansan株式会社」の富岡圭取締役と日本ゴルフツアー機構(JGTO)の青木功会長の特別対談がこのほど実現。大会を振り返り、今後の展望まで大いに語り合った。

キーワードは
「それ、早く言ってよ」

―コロナ禍の中、そもそも特別協賛を務めることになった経緯を改めてお聞かせください
富岡取締役: きっかけは、KBC(九州朝日放送)さんとの関係です。私たちSansanは2018年に福岡支店を開設し、営業活動を本格的に開始しており、また、KBCさんには私どものサービスをご利用いただいています。その関係で昨年後半、スポンサーシップのお話しをいただき、大会に特別協賛することになりました。
青木会長: どの会社も(コロナ禍で)動かなくなってしまっていたので、スポンサーをやっていただけるということは我々にとってこの上ない喜びでした。
富岡取締役: 私たちはITの会社で、ミッションとして「出会いからイノベーションを生み出す」というものを掲げています。コロナ禍において対面での出会いの機会が減少する中、3密を避けながら安全に楽しめるゴルフを通じ、ビジネスの出会いを活性化できるのではないか、微力ながら地域にも貢献できるのではないかと思いました。
青木会長: どういう会社なのか興味を持って、コマーシャル(CM)も見ました。特にゴルフ編は面白い。「早く言ってよ」という言葉は覚えやすく、普通に話をしていて、「それ、早く言えよ」と使っちゃう(笑)。CMを見てフランクに本心が言える会社かなと興味を持ちました。世の中にはこういう会社があるのだとわかってうれしいし、本当にやっていただいてよかった。
―富岡取締役は福岡に縁があるとか
富岡取締役: とても個人的な話になりますが、社会人になって最初に赴任した地が福岡だったんです。正直言って、縁もゆかりもなかったのですが、赴任していた4年の間、地域の方々に公私ともに非常に支えられました。いつか少しでも恩返しといったら大げさですが、そういう機会あればと思っていたので、個人的にもうれしい。
青木会長: 私たちは試合で方々に行きますが、福岡はすごく住みやすい、という感じはしますね。場所は違うけど、KBCオーガスタは私が第1回大会(1973年、福岡カンツリー倶楽部和白コース)のチャンピオンですから、そういう意味で私がスタート。思い入れのある大会です。
富岡取締役: トーナメントによってかなり雰囲気が違うとうかがっていましたが、その中でもKBCオーガスタゴルフトーナメントは、ゴルフファンの皆様や地域の方に愛されるような様々な新しい試みに挑戦されている大会です。そのような姿勢が、ゼロから市場を創るべく挑戦し続けてきた当社と似ていると感じ、とても共感できました。
青木会長: スタートホールで音楽をかけたりと、今まで日本に、世界にないようなアイデアをもらったので、選手には慣れるように言ってきました。ああいうのをやったのはKBCさんが初めて。SansanのあのCMを見て、同じように画期的な、挑戦意欲のある会社だと思いましたね。

IT企業ならではの「非接触」での
スマートな大会観戦体験

―久々の有観客でご苦労もあったのでは
富岡取締役: IT会社として(主催に)入るからには何か新しいことを、コロナ禍でも安心安全に開催できればと、受付でお客様が来場されたときに、非接触で登録できるスマートエントリーという新しい方法を導入しました。まさに名刺情報を活用した次世代のエントリーシステムです。KBCオーガスタは若い観客の方が多いので、そういう方々は(操作が)早いし、ご年配の方も少し手間取りながらやっていただいて、それをみて、世の中変わってきているし、変わっていくだろうと思いました。
青木会長: いまはすごく進んでいて、次から次へと対応できる。そういう年代に私も戻りたいですよ(笑)。それはともかく、関係者が皆、協力すればできる、というのがわかった大会。PCR検査や抗原検査と、皆が守ってくれてうまくいったことは本当に良かったと思いますよ。
―大会では、個人向け名刺アプリ「Eight」も活用して、選手や青木会長とのオンライン名刺交換も実施しました
青木会長: ちょっと難しかったが、私もやって、現役の会長にもファンがいるんだなとわかりましたよ。それよりも、世の中が思いつかないようなことやって流行るんだなと感心しました。
富岡取締役: ありがとうございます。それだけでもうれしいです。DX時代といわれている中、ゴルフ大会でもオンラインでのつながりを体験できる取り組みができないかと思い企画しましたが、大きな反響をいただくことができました。選手を含め青木さんとも名刺交換できるため、大会に来場された方のほか、テレビの視聴者も積極的に参加いただき、7000を超えるオンライン名刺交換が行われました。コロナ禍前なら選手を見ることはあっても、つながることがなかなかできないと思いますが、そんななかで、選手の方もファンの方も新しい体験ができたなのではないかと思います。

有観客だからこその劇的ドラマ

―大会を現場で4日間ご覧になって
富岡取締役: ゴルフツアーは本当に静かで、緊張感があるという印象だったんですが、音楽が流れていてすごく驚いた。選手がそれぞれ好きな音楽で登場しているのは一番インパクトがありました。
青木会長: 音楽がかかって自分の仕事がスタートするんだと気構えに変わり、音楽が切れた瞬間に打つわけですけど、気持ちの切り替えをするから、逆に真剣さが見ている人に伝わる。私はそう見ているんです。リズムが入ることで切り替えが早くなる。すごく画期的なこと。
富岡取締役: 選手も参加されている方々もゴルフを盛り上げていこうと新しい取り組みをされていることを感じることができたのはすごくよかった。
―試合もジンバブエのスコット・ビンセント選手がツアー初優勝、石川遼選手が惜しくも2位と熱戦でした
富岡取締役: 素直に感動しました。最終日に(18番)グリーン横で見ていて、石川遼選手がトップと1打差というところで応援が盛り上がって、そんなアウェー感のなか、ビンセント選手が勝ってガッツポーズをしたのを見て涙が出てきました。
青木会長: 勝つ人っていうのは、アクシデントがあって勝つ人、スーッと勝っちゃう人といろいろいる。私は、あの結果を見て、ビンセント選手が最終ホールの1打目がカートパスに当たらなかったらOBになっていた。木に当たって跳ね返ったときに、ゴルフの神様が「勝ちなさい」といったのかもしれない、と思いました。
富岡取締役: ドラマって本当に起こるんですね。
青木会長: そうかと思えば、50cmを外して負けたり。勝ちたい、勝てると思って、ふっと一呼吸していたら入るのに、そうせずに打ったがために入らないといった、見えないドラマがあるんです。
富岡取締役: 感動はテレビでも伝わったと思いますし、有観客であの場にいた人にはさらにすごい感動が伝わったと思います。
青木会長: (選手の)呼吸が波のように伝わってくる、そういう感動が会場では体感できます。会場で見ていたご褒美に感動があるんです。ギャラリーはやっぱりいた方がいいですね。

これからも出会いを後押し

―Sansanにとって冠スポンサーの意義と今後
富岡取締役: 当社としては「出会いからイノベーションを生み出す」というミッション実現に向けての一つの取り組みだと考えています。ビジネスにおける出会いはいくつもありますが、ゴルフというビジネスパーソンの交流の場での出会いもその一つではないでしょうか。そこで新しい出会いを生み出したい、きっかけづくりができればと感じています。今回、特別協賛を通じて、さまざまな出会いを後押しする当社の取り組みを知ってくださる方が増えれば嬉しく思います。
青木会長: コロナ禍さえ収束すればSansanさんのお客さんも増えるし、大会ももっと違った、相当大きなものなると思います。我々もやってよかったというものをつくってみせますよ。(来年も)待ってます。よろしくお願いします。
富岡取締役: 本大会への特別協賛を通じて、私自身色々な方との出会いがありました。そして来場者の方々には、テクノロジーを活用した新たな出会いの体験を提供できたのではないかと感じています。今後も、当社サービスの提供等により、ゴルフを通じた出会いを後押ししていきたいと思います。