チャレンジスピリットの融合が生んだ大会 九州朝日放送株式会社(KBC)竹内俊一営業部副部長×Sansan株式会社福永和洋マーケティング部副部長

※本インタビューは、2021年に実施したものです

福岡・芥屋ゴルフ倶楽部を舞台にした「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント2021」は国内男子ツアーとしては久々に有観客で開催され、ギャラリーに感動を与えて閉幕した。初めて特別協賛社となったのは、働き方を変えるDXサービスの企画・開発・販売を行う「Sansan株式会社」。同社のマーケティング部部長で今大会の現場責任者である福永和洋さんと、「九州朝日放送株式会社(KBC)」のオーガスタ事務局長の竹内俊一さんの対談が実現した。現場を一番近くで支えた2人が大会を振り返り、今後の展望まで大いに語り合った。

―まず、なぜSansanさんが特別協賛となったのですか?
Sansan福永さん:KBCさんには当社のサービスを導入していただいており、会社としてお取引関係にありました。今回の特別協賛の件は、KBCさんの担当営業から紹介されたのをきっかけに、検討をスタートしました。
KBC竹内さん:2020年大会は、約半世紀の歴史のなかで、初めて開催を断念しました。コロナ禍の状況を鑑み、弊社としては苦渋の決断でしたが、その際、経営陣からは「今年の中止は、攻めの中止だ!来年までの時間は、withコロナ時代に相応しいトーナメントに生まれ変わらせるための準備期間と受け止めてほしい」と。そこで、新しい特別協賛社(=大会のパートナー)を探すにあたっては、「withコロナ時代に相応しい会社」「チャレンジスピリットに溢れている会社」「本大会のチャレンジを理解してくれる会社」という観点から、リサーチを始めました。いま振り返って話すのは簡単ですが、当時は雲をつかむような話で、どうやって会社の特徴を調べていくか、その次は、どうやってその会社のキーマンにたどり着くか、悩みは尽きませんでした。

KBC竹内さん:10月のある日、たまたま自宅にあった古新聞で、寺田社長の記事を見つけました。KBCもSansanさんのシステムを入れさせていただいているので、社名が飛び込んできたのです。当時オンライン名刺交換のCMも流れていましたので、「withコロナ時代にも相応しい、チャレンジスピリットに溢れている、オーガスタ、そしてKBCもお役に立てる部分があるのではないか?是非プロモートしたい!」と、思い至りました。そして弊社の担当をしていただいているSansanさんの方からたどって、何とか福永さんにたどり着きました(笑)。

―KBCさんからの提案を受けて福永さんはどう思われましたか?
Sansan福永さん:当社はミッションとして「出会いからイノベーションを生み出す」を掲げています。人と人、会社と会社の出会いを大切にしている当社としては、ゴルフもまさしくビジネスパーソンにとって出会いの機会の一つだと思っています。加えて、これまでにもゴルフを活用した施策をいくつか行ってきたことから、ゴルフツアーの冠スポンサーの話は唐突ではありませんでした。検討する上でポイントになったのは、単に大会に当社の名前が入るだけでなく、何か新しいチャレンジができるのかということです。KBCオーガスタは過去にチャレンジングな取り組みをされていて、さらに新しい取り組みにも前向きだったので、話を具体的に進めることにしました。
―大会としてコロナ対策に講じていらっしゃいましたが、主にどのような対策をされていましたか?
KBC竹内さん:大方針は、PCR検査で陰性が証明されている選手やスタッフと検査を行っていないギャラリーを接触させない、そのための会場作りをするということでした。ローピングの工夫、クラブハウスのセパレート使用はその代表例です。選手と接触する可能性があるスタッフのIDカードには、一目で分かるように「PCR Negative」のシールを貼りました。ギャラリーには、検温・手指消毒・マスク着用などをお願いしました。マスクを外せるエリアとして、「Goodパーク」という飲食ゾーンを設け、それ以外の場所での飲食をお断りしました。オリンピックのバブル方式などが参考になりましたね。また、選手・スタッフ約1,100名は全員PCR検査ないし抗原検査を受診し、全員陰性。大会後、2週間の経過観察でも陽性者は出ませんでした。皆さんが緊張感を持って、感染症対策をしてくれたおかげです。
―コロナ禍での開催で難しかったことはありますか?
Sansan福永さん:感染症対策の一環で当社のサービス、スマートエントリーを導入して新しい受付方法を実施したところですかね。スマートフォンをある程度使いこなせている方には問題なくご利用いただけたのですが、従来の受付の様式を希望される方が一定数いらっしゃったので、その方々へ新しい方法をお伝えする難しさを感じました。一方で、今回オンラインでのつながりを体感できるコンテンツとして、出場する一部選手とファンとのオンライン名刺交換の機会を提供した結果、7,000件を超える名刺交換が行われました。来場いただく人はプロからサインをもらう、プロと握手をするなど交流することを従来は楽しみにしていますが、それができない状況でしたので、それらの代わりとしてプロとファンとの交流の機会を創れたのではと思っております。
KBC竹内さん:今年の大会運営は、コロナ禍・緊急事態宣言下での開催でしたし、誰もが経験したことのない状況です。ギャラリーに来ていただくこと、プロアマ大会を実施すること、さまざまな面で「新しい約束事を作っていくこと」が難しかったです。感染対策を徹底することで、ギャラリーの利便性は低下する。感染対策と利便性のバランスは、最終日まで、大きなテーマでしたね。
―そんなコロナ禍の大会を振り返って
Sansan福永さん:刻一刻と状況が変化するので、本当に大変だったのは主催されたKBCさんだと思いますが、当社も状況の変化に頭を悩ませておりました。結果的に有観客で実施することになり、来場されたファンの方々の楽しそうな表情を見て、有観客で実施できた喜びを強く感じました。ただ、状況的に県をまたぐ移動は控えた方がよいという政府方針があり、関西や関東などからの来場を促進する企画は断念しました。早くゴルフだけでなくさまざまな活動がコロナ前の状況に戻ることを願うばかりです。

KBC竹内さん:KBCは地域に根差したローカル局なので、大会を実施するなら「有観客が前提」と考えてきました。「日本プロゴルフトーナメントにおける新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」でも、しっかり対策をすれば、緊急事態宣言下でも1日上限5,000人までの有観客が認められています。KBCは、まずこのガイドラインをしっかり遵守することを、コロナ対策の基本方針にしました。地元自治体のご理解をいただくことから始め、選手とギャラリーを接触させない会場作り、ギャラリーのバス移動をどう行うか、会場内でいかにギャラリーを分散させるか、アルコール提供の禁止、スタッフのPCR検査、体調不良者発生時のマニュアル作りなど、これまで経験したことのない取り組みばかりでした。入場口の検温システムは、福岡県スポーツ局が貸し出してくださったものです。一度で画面に映った人全員の検温ができる高性能のもので、本当に威力を発揮しました。バス車内でも、皆さんがマスクを着用し会話を控えてくださり、ありがたかったですね。

―最後に来年に向けての意気込みとどんな大会にしたいかを教えてください。
Sansan福永さん:当社としては協賛が初めての機会で、大会会場の雰囲気を十分に把握した上で企画を立案できたわけではありません。今回、会場で実際に各種施策を行ったことで、さまざまな状況を体感することができました。来年はより具体的にイメージすることができるので、本大会以上にイノベーティブな当社ならではの企画を考え、大会を盛り上げていければと考えております。
KBC竹内さん:今年は、感染症対策に追われました。でも来年は、この厳しい状況下で開催した経験が、僕らに大きな力を与えてくれるはずです。「withコロナ時代の新しいトーナメント作り」は、始まったばかりです。Sansanさんのテクノロジーの活用もそうですし、事前のプロモーションも充実させたいです。地域の人も巻き込むし、こんな発想あり?というチャレンジで、ゴルフ界に新風も吹き込みたい。そして、ゴルフファンだけでなく、家族みんなが楽しめるトーナメントを目指してまいります。是非ご期待ください!