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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/1号
2002年更新
今年もまたゴルフ場利用税減免は見送りへ
結局、地方の税収不足のご時世では不可能!?
 98年から4年にわたりJGAが音頭をとり、署名運動を中心に業界を挙げて展開してきたゴルフ場利用税撤廃運動。毎年、「今年こそは」と成果が期待されているのだが、またしても自・公・保の与党3党の平成14年度税制改革大綱に盛り込まれないこととなった(締切りの関係で間に合わないが、12月14日の税制改革大綱の発表で正式に明らかになる)。

 今年の運動は、昨年に引き続き「撤廃」から、その第一歩として「減免」へと業界も譲歩。ゴルフ場利用税は都道府県に3割、市町村に7割が配分されるが、現行800円の標準課税を600円に引き下げ都道府県分の減免を要求。また昨年に続き身体障害者、ジュニア(20歳未満)、シニア(65歳以上)の非課税についても要求していた。

 ただ01年は、例年と違い、文部科学省と経済産業省が共通課題として取り上げ、同様の内容をともに省議決定。税制改正要望として、財務省、総務省に税制改正要望として提出した。また政治の方も、自民党の「ゴルフ振興議員連盟」(相沢英之会長、国会議員76名)が、党の税制調査会に提出していた。それだけに、今年こそは与党税制調査会の税制改革大綱に盛り込まれ、02年早々には法案として国会に提出される期待が、業界に高まっていた。

 しかし、厳しい現実として立ちはだかったのは、長引く不況の影響を受けて深刻な地方の税収不足だ。

「例えば東京都では外形標準課税やホテル利用税、国も発泡酒の増税などが議論される中、既存の税金の減免や撤廃を議論すべき時期ではない、との声に押しきられた」(業界関係者)。

 平成10年実績でゴルフ場利用税の総額は約925億円。3割の減免で約219億円、身体障害者、ジュニア、シニアの非課税で約102億円の減税と試算される。地方にとって貴重な財源だけに、税制調査会も地方に配慮した格好になった。

 もっとも、関係筋によると、具体的に利用税問題が俎上に上がった今月3日と4日の党税調小委員会において僅差で否決されたが、その後もJGAは大物国会議員に頼むなど、14日の正式な税制改革大綱発表までギリギリ粘って、総務大臣等に訴え続けたものの、業界の悲願は叶わなかったようだ。

 この点についてJGAでは、「スポーツの中で唯一ゴルフだけにかけられる税の撤廃が最終目標であり、今回の結果の如何に問わず、来年以降も運動は続けていく」とするが、その一方で、ゴルファーから広く署名を集めても、結局、何の成果も得られないことに、ゴルファーに苛立ちの声があるのも事実。

「撤廃できたとしても、違う形で増税や新税が創設され、結局ゴルフ料金が上がるのではないか」という疑問の声もあれば、「もう税金は払うものとして、ならばその使い道をゴルファーや、他のスポーツ愛好者のために限定させるよう、運動方針を展開すべきではないか」という現実的な意見もある。

 ゴルフ評論家の田野辺薫氏も、手厳しい提言をするひとりだ。「年間1000億円近い税金を、この財政難に撤廃、減免するなど現実的に不可能だし、そもそもスポーツに税金をかけるのはおかしいとの理屈に無理がある。その前に日本のゴルフの実態が、スポーツだと胸を張っていえるものかどうか考え直し、反省するのが先決。まだまだゴルフは贅沢で税金が取りやすい実態が、日本のゴルフの実態としてあるのが現実だと思う」

 たしかに、ゴルフ発祥の地、スコットランドなどでは、名門コースほど、ジュニア、シニア、身体障害者などに無料で開放することに積極的という。利用税の撤廃運動が今年もまた見送られた以上、税金を語る前に、ゴルフそのものの在り方を考える時期にきているのかもしれない。

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