週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
もともと同大会は高額賞金を売り物に、シーズンを終えた欧米のビッグネームが参戦することで人気を保ってきた。しかし、日米の景気が逆転し、米ツアーの賞金が飛躍的にアップしたことで、ここ数年は出場メンバーが寂しくなる傾向にあった。表向きはアピアランスマネーなしを謳っている同大会だけに、それも無理からぬことだったが、開催コースの経営破たんが皮肉なことにスーパースターの参戦を可能にさせる格好になった。開催コースのフェニックスCCを経営するシーガイアグループは昨年2月に会社更生法適用を申請。5月には宮崎地裁から更生手続きの開始決定が下り、スポンサーとして、米国の投資ファンドのリップルウッド社が選ばれ、ゴルフ場はトゥルーン・ゴルフ、それ以外はスターウッドグループ(シェラトン・リゾート)に運営委託することが決まっていた。 新体制が整い、施設すべてに手を加えて新たに12月からスタートする直前のシーガイア・リゾート。そこで打ち上げる花火ともいえるダンロップフェニックストーナメントの目玉にウッズ出場は欠かせない大玉だったというわけだ。 今回、ウッズにいくら支払われたかについて、関係者の口は堅く「1億5000万(円)」「いや、トーナメントだけでなく、他の仕事(イベント)と組み合わせて2億は出したはず」などと諸説が渦巻いているが、いずれにしても大会の賞金総額(2億円)並みの金が動くことには間違いがない。だが、その金額にしろ、買った“商品”に手を加えて、なるべく価値を高めて転売するという投資ファンドの基本的な商法の中では、その後の見返りを考えれば大した金額とはいえないのかもしれない。 大会主催者は、ウッズのほかに昨年優勝者で、同リゾートと契約を結んだデビッド・デュバル、ウッズ超えを叫んで突き進む若きスペインの星、セルヒオ・ガルシアらの出場も発表。また、米ツアーを主戦場にし、国内戦でそのプレーを見られる機会のめっきり少なくなった丸山茂樹も参戦を口にしている。 今回、これだけの大物選手をそろえることができたのは、ひとえに新たにシーガイアのオーナーとなった米リップルウッドの資金力のなせる技に違いないだろうが、同じく主催者であるダンロップ、毎日放送にとってはまさに“棚からボタモチ”。しかし、ファンにとってはそんな事情はどうでもいい。久々に賑やかなメンバーが勢ぞろいし、トーナメントは盛り上がりそうだ。 だが、一方で「一発の花火で終わらないことを祈りたい」という関係者の声があるのも事実。また、ウッズの参戦は、必ず日本の潜在的ゴルフファンを掘り起こすのだから、できる限り有効に使ってほしいものだ。