|
|
|
週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
|
週刊ゴルフダイジェスト 10/8号 |
2002年更新 |
米ツアー通算勝利数のカウント方式変更で
ノーマンが生涯ツアーメンバーの資格獲得
|
ゴルフの“歴史”が変わり、同時にグレッグ・ノーマンの名前がスポーツ史に復活することになった? 先頃、2つの出来事があり、ノーマンが脚光を浴びているのだ。
ひとつは、PGAツアーの勝利数のカウントシステムの修正だ。実はこれまで、95年までの全英オープンに関しては、米ツアーの勝利数にカウントされなかった。もともと全英オープンが米ツアーの公認試合として、獲得賞金などに加算されるようになったのが95年のこと。つまり、米ツアーの生涯勝利数にも、94年以前の全英オープンでの勝利はカウントされないでいたというわけだ。
「この問題は、これまで1年以上も前から話し合われてきたのだが、理事会はこれを正式に決めるのがふさわしいと判断した」(B・コンブス・米ツアー広報部長)ということで、全英オープンの勝利を米ツアーでの勝利数に加えることに決定したのだ。もっとも、94年以前、全英オープンでの獲得賞金に付いては、シニアツアーのシード権がこれによって混乱をきたすことから、米ツアーの賞金に加えることは現時点では予定していないが、生涯勝利数の記録は、今回の決定でかなり変わることになる。
米ツアーでの最多勝利数の記録はサム・スニードの81勝だが、これが1946年のセントアンドリュースでの勝利で82勝に増え、2位のジャック・ニクラス(66、70、78年)が70勝から73勝へ記録が書きかえられることになった。ちなみに、最多勝利数3位のベン・ホーガンは64勝に、アーノルド・パーマーは62勝となり、正式には来年からだが、ゴルフ史が書き替えられることになったのだ。今回の改定で、もっとも恩恵を受けるのは、全英オープンに5回勝っているトム・ワトソンで、生涯勝利数が34勝から39勝へと一気にアップ。タイガー・ウッズ(33勝)に追いつかれそうに思われたが、これで、また1年くらいは生涯勝利数9位タイの座を維持できそう。
逆にウッズにすれば、すべてのゴルフ記録を書き換えるには、またハードルが若干高くなったということなのだ。しかし、実質的な恩恵という点では、ノーマンが、もっとも大きな恩恵を受けることになったといえる。
というのも、ノーマンの米ツアー、生涯勝利数はこれまで、18勝だったが、86年と93年の全英の勝利によって、20勝となり、米ツアーの生涯メンバーの資格をものにすることができるようになったのだ。ノーマンは、94年のプレーヤーズ選手権の勝利で年間12試合に参戦しさえすれば、2004年まで、ツアーのメンバー資格を確保できていたのだが、昨年、試合数を消化せずに、メンバー資格を放棄していた。それだけに、今回の生涯メンバーの資格で、04年以降も復活のチャンスができたといえる。何より、米ツアーの生涯メンバーになることで、ゴルフ史に名前を残したといっても過言ではないだろう。
しかし、アメリカのスポーツ史に名前を残すという意味では、もうひとつの出来事のほうがノーマンの復活という言葉にふさわしいかもしれない。実は、今月開幕したアメリカンフットボールのスタジアムに、ノーマンが開発した「GN-1」という名の芝が使用されたのだ。この芝、バミューダ芝の一種で、もちろんゴルフ場にも使われているが、もボルティモア・レイブンズのスタジアムにも使われているのだ。このGN-1、00年のシドニー五輪で使用され、注目されたこともあり、同年のレイブンズが優勝したスーパーボウル、そして、同年のレイブンズ・スタジアムでも使用されたのだが、昨シーズンは、同スタジアムでは、実験的に、ブルーグラスとティフスポーツという芝に戻されていたのだ。
ところが、消耗が激しいフットボール球場で、GN-1は回復が早いのと、寒冷時期での成長が早いということで、今年の復活となったのだ。
「レイブンズが、GN-1の性能の良さを評価して、再度使用するというのは素晴らしい。彼らの今年の成績を見るのが楽しみ」と語るのはノーマンだが、レイブンズは00年のシーズンにはホーム試合で、9戦7勝という成績。これでレイブンズが、いい成績を収めれば、GN-1の名前は、アメフト界では、不動のものになる可能性があり、GN、つまりグレッグ・ノーマンの名前は、アメリカのスポーツ界に永遠に残ることになる。
かつてのホワイトシャークブランドのゴルフグッズ展開、ゴルフ場デザイン業、また最近ではワインの販売等々、本業のゴルフよりもビジネス意欲のほうがが強いノーマン。ゴルフでの成績は、今ひとつ(今年の獲得賞金は約47万ドル、賞金ランク121位に相当---今年はツアーメンバーではないので参考記録)だが、今回の規則変更による生涯ツアーメンバーの取得を機に、もうひと奮起してくれたらファンは嬉しいのだが。
|
|