週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
もともとガルシアは、ウェア、シューズに関してはアディダスと契約しているが、これに加え、ボールをタイトリストのプロV1から(アディダスグループ傘下の)マックスフライに替える一方、クラブをテーラーメイド一色にしようというもの。アディダスグループとしては、バスケットのスター、K・ブライアントを失ったことから、これに替わる会社の顔となるトップアスリートを探していたようだ。そこで将来性を買われたガルシアに白羽の矢が上がったというわけで、そのためか推定契約金はなんと年間700万ドル強で、契約期間は2010年まで。つまりトータルで70円億円前後にも達する模様で、プロゴルファーの契約金としてはT・ウッズとナイキの5年間1億ドルに次ぐ、ナンバー2となりそうなのだ。 もっとも、ガルシアとタイトリストの契約は後2年ほど残されており、「契約の変更には、我々の許可が必要になる」(タイトリスト、W・ユーライン会長)ということなのだが、業界通に言わせると「現在、ガルシアに支払っているのと同額の推定年間350万ドルで、タイトリストはエルス獲得に動いている」そうで、メジャー3勝のプレーヤーをガルシアと交換できるのならガルシアを放出する可能性は非常に高いということのようだ。 一方、エルスのほうは、テーラーメイドとの契約は年末に切れ、ある意味では契約更新の交渉時期になっているのだが、キャップ(帽子)の契約をコンピューター・ソフトを作っているSAP社と結ぶことが確実視されている。SAP社のH・プラットナー会長が、来年プレジデントカップが開催される南アフリカのコースのオーナーであることからこの話が進んでいるのだが、このためトータルな契約を望むテーラーメイドの意向と距離ができてしまう一方で、タイトリストとしても安い(?)買い物ができるというわけだ。成長著しいガルシアに対して、10歳年上でピークを迎えつつあるエルス。タイトリストにすれば、ミケルソン、ラブIIIに加えてエルスをものにすることで、イメージ的にも、ウッズ、D・デュバルを失ったものを取り戻せるし、ナイキにも対抗できることになる。 その一方で、スニーカーなどをメインにするアディダス・テーラーメイドの方も、若いガルシアを抱えることによって、若年層へのイメージ戦略が可能になるというわけだ。つまり、両社にメリットがあるだけでなく、エルス、ガルシアの両プレーヤーもビッグマネーを手にでき、皆が得する取引だけに、トレードの可能性も非常に高い。 しかし、考えてみれば、「メジャーに勝てば、年間100万ドルの契約金」と言われていたのはわずか10年前のこと。世界経済のほうは停滞気味だというのに、まだメジャー未勝利ながら、将来性だけで年間8億5000万円以上の契約金とは、ガルシアの人気がそれだけ高いということか? はたまた米国でのゴルフ熱がそれだけ高いという証拠なのか?