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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/18号
2003年更新
今度は7打差の大逆転で今季早くも2勝目
“逆転男”M・ウィアー、好調の秘密は?
 先のニッサンオープンで早くも今季2勝目を挙げたカナダ出身のマイク・ウィアー(32)が、それまでトップだった今季絶好調のE・エルスを抜いて賞金ランクのトップに躍り出た。ウィアーは今季の2勝以外にも、これまでの米ツアー5勝のすべてが、最終日での逆転優勝。米国メディアの間では“カムバック・キッド(「逆転勝ち小僧」の意)”のあだ名がすっかり定着している。

 ウィアーは今季4戦2勝に加え、残りの2試合でもトップ10に入る(フェニックス9位タイ、ボブホープ優勝、ぺブルビーチプロアマ3位タイ、ニッサンオープン優勝)驚異的な活躍を見せているが、それにしても、彼の勝ちパターンには目を見張るものがある。米ツアー初勝利を挙げた地元のカナディアンエア選手権(99年)では2打差を逆転、00年のWGC-アメックスでは1打差、01年のツアー選手権でも2打差を逆転、今年はボブホープで4打差、そして、先のニッサンオープンでは7打差をひっくり返しての優勝なのだ。

 最終日に爆発的なスコアを出していると聞くと、どんな状況でもピンを狙って攻めるという攻撃的なゴルフスタイルをイメージしがちだが、彼の場合、守るところは守り、忍耐のゴルフでチャンスを待つというスタイル。ボブホープのときはJ・ハースと最終パー5の18番ホールまでタイスコア。相手が2オンを狙ってくるのがわかるにもかかわらず、手堅く刻み、バーディを獲って優勝しているし、ニッサンオープンのプレーオフ2ホール目の315ヤード、パー4の10番ホールでも、C・ハウエルIIIが、1オンを狙うのを尻目に、5番ウッドとサンドウェッジで2.5メートルに寄せてバーディを決めて優勝している。

 確かにドライバーの平均飛距離が291.8ヤード(ランク60位)のウィアーにすれば、刻むのが正攻法なのかもしれないが、アメックスで勝ったときも最終日の17番パー5でも刻んでいることを考えれば、ウィアーの冷静さがこれまでの逆転劇を生んでいるとも言えそうだ。

 また、これまでウィアーはシーズン後半戦の男とも言われていた。8月のカナディアンエアは後半戦の始まりのようなものだし、トップ合格した98年のQスクールを含め、残りのアメックス、ツアー選手権とみな11月の試合。本人に言わせると、「シーズン後半に勝っているのは単なる偶然。むしろ学生時代から、シーズンの序盤の方が調子はいい」ということなのだが“後半戦男”の名前を返上、ひと皮剥けたのには訳がある。

「昨年は、スウィングをいじりすぎておかしくなった。それで、オフシーズンに、インドアで鏡を使って、グリップからアドレスといった基本をチェックし直したんだ。実際にボールを打つ練習はあまりせずに、メンタル面でリフレッシュできた」というのがひとつの理由。もうひとつは、ウィアーの独特な大きなワッグルにあるとか。

「昨年、ショット前のワッグルをしないようにしていたけど、シーズン終盤で以前のような大きなワッグルをするようにしたんだ。そうしたら、安定したショットが出るようになった」とかで、そのフィーリングを、自宅の地下にある3つの壁が鏡になったトレーニングルームで、しっかり身体に覚えさせたようなのだ。

 ちなみに、ウィアーの出身のカナダは、アメリカ以上にレフティが多いそうだが、ウィアーは13歳の時に、右打ちにしようかと悩んだことがあったとか。当時、あのJ・二クラスに手紙を書いて、自分にとって無理のない自然なスウィングのほうがいい、とのアドバイスを受けて、そのままにしたという。

 このところのミケルソンの調子を考えると、このまま快進撃が続けば、世界最強のレフティの称号がウィアーに移る日もそう遠くはないのかもしれない。

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