週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
注目の中学1年生は、先週(3月18日)号の本誌連載「小さな巨人伝」に登場していた那覇市在住の宮里美香。1989年(平成1年)10月10日生まれの13歳だ。記事ではドライバーの飛距離は210ヤードとなっていたが、「クラブを換えたら、もっと飛ぶようになった」とかで、230~240ヤードをコンスタントに飛ばし、同じ組のプロをたびたびアウトドライブする場面も見られた。 身長158センチ、体重48キロの体にどこにそれほどのパワーがあるのだろうか。 昨年末から宮里美香の指導に当たっている琉球GCのキャディマスター、野村守氏によれば、「すべてのショットがカット打ちになっていたのを、ボールを包み込む感覚で、スクエアにとらえるよう直したため、力のロスがなくなり、飛距離アップにつながった」とのこと。 ダイキンオーキッドは、97年から地元沖縄在住、出身の中学生以上の女性アマを対象に「ダイキン女子アマチュア選手権」を開催し、その上位3人(昨年までは4人)に本戦出場権を与えているものの、過去その資格で出場して予選を突破したのは諸見里しのぶ(01、02年の2回)だけ。宮里美香は、このアマチュア選手権に初出場で最年少優勝を果たし本戦出場権を得た。 「最初のショットをするまで、すごく緊張しました」という初めてのプロとの試合になった予選ラウンドのスコア73・75の4オーバー、49位タイで宮里藍(東北高校2年生)とともに決勝ラウンドに進出した。 ちなみ今回の宮里藍は主催者の特別推薦枠での出場でアマチュア大会には出場していない。 宮里美香のライバルは「いつもメールのやりとりをしている大の仲良し」という同じく中学1年生の金田久美子。金田は昨年のリゾートトラストで諸見里しのぶが持っていた女子ツアー最年少予選通過記録(14歳7カ月)を大幅に更新する12歳9カ月で予選通過を果たしているが、現在13歳4カ月の宮里美香は諸見里を抜き同記録2番目となった。 昨年の日本女子アマチュア選手権の優勝は、今大会がプロデビュー戦となった沖縄在住の上原彩子(19歳)だったが、そのとき決勝戦で対戦したのが、宮里藍を破って勝ちあがった諸見里しのぶ。つまり準決勝に進出したベスト4のうち3人が沖縄勢だったのである。 どうして沖縄のジュニアは強いのかとの問いに宮里美佳は、「1年中ゴルフができるから」と答えたが、誰もが口をそろえるのはゴルフ環境のよさである。沖縄南部地区ではパームヒルズゴルフリゾート、琉球GC、沖縄CCが、北部地区では大京CC、ベルビーチGCが、最終の来場者がスタートしたあと、ジュニアに対して無料開放を行なっている。また練習場も500円で打ち放題などジュニアを優遇するところが多い。 「琉球GCは那覇から少し遠いので、毎日は来られませんけど、土日はラウンドさせてもらっています」(宮里美香)と恩恵をフルに活用しているという。 そうした環境で育ったジュニアたちが互いに競い合うという相乗効果も見逃せない。 「ショットは悪くないけどパターが…」と苦戦し予選通過が危ぶまれた宮里藍は、2日目の最終ホールで5メートルのバーディパットをねじ込み4オーバーとして予選通過にすべ込んだのもスーパージュニアの意地だったのだろう。 最終日に同組となった2人のベストアマ争いは、途中8オーバーまでスコアを崩した宮里美佳が、その後6バーディを奪う猛反撃を見せ、宮里藍に5打差をつけて初金星を獲得した。