週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
キャロウェイ側の発表によれば、(株)マルゼンおよび同社製品の販売を行っている(株)せいまに対し、同2社が販売する「ホワイトショット・ニューウエーブ・ツインボール」という商品名のパターが、前述のオデッセイの人気パターに商品名・デザインとも酷似していることから、商標権および商品形態/商品表示の侵害に当たるとして、昨年8月、東京地裁に販売中止を求める訴訟を起こしていた。そして裁判の過程で、2社がキャロウェイ側の主張を認めたことから、去る3月11日に2社が模造品をただちに店頭から引き上げ、3月末までに在庫を廃棄し、和解金(未発表)を支払うことで双方が合意したと発表した。 こうしたいわゆるコピー商品は、海外からこっそり持ち込まれ、中古ショップやディスカウント店に並ぶのが一般的だ。それゆえ販売元がわからず、メーカー側も法的に対処できないケースが多い。ところが、今回は昨年のジャパンゴルフフェアで、マルゼンが販売元として展示していたのを発見したのがきっかけだったため、対処は楽だったようだ。 「それで最初は警告書を出して、自主的な販売停止と廃棄を要請したのですが、権利関係に関する解釈に違いがあり、結局、裁判に至りました」(キャロウェイ・PR担当・松尾俊介氏) 欧米に比べ、日本ではまだまだこの種の知的財産侵害に関する認識が甘い。そのため、最初はキャロウェイ側の訴えにも、反応が鈍かったのだろう。ただし、最終合意については、法務担当の上席副社長名で、「相手側2社が一般ユーザーとキャロウェイ関係者の不利益を回避するよう協力してくれたことに感謝する」旨のコメントを発表している。 これにて一件落着。問題のパターは今月中には主だったショップから姿を消すことになる。「一度に5~6本入荷し、2週間ほどで売り切れる人気商品でした。一見オデッセイに似てますが、2ボールのマークは本物より明らかに大きく、フェース面の素材もまったく違いました。値段は新品で7~8000円ですし、本物と混同した人はいないでしょう。この種のコピー商品は、偽物だから買うという人も案外多いと思いますよ」とは都内の人気中古店のコメントだ。 実はこの「2ボールパター」の模造品は他にもあり、編集部で把握しているだけでも「BOSS」、「MOONLIGHT」、「BEVERLYHILLS'S」なる刻印があるものから無刻印のものまである。また、ネットオークションサイトを覗いても、そっくりなデザインのパターが5000円以下の値段で複数出品されており、人気の程を伺わせる。 他の大手メーカーにも、調査中の模造品はいくつがあり、法的処置に躊躇することのない不断の警戒と厳しい対応が、コピー市場を少しずつ改善してきたといえるだろう。知的財産権に関しては、日本のメーカーも敏感になってきた。ちょっと真似たからといって、笑って済ませられる時代ではないようだ。