週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
売上げ低迷が続くゴルフ場業界では、コストを削減するために、どのゴルフ場もかねてから徹底した節電を図ってきた。 「この業界では、こまめな消灯は以前からの常識。人がいない場所は、気づいた従業員が消しています。ですから、新たな節電は呼びかけていません」(アコーディア・ゴルフ本社) 確かに、一般にハウス内には灯りが消えた空間をよく目にするが、そうした徹底した節電で、果たしてどれほどのコストカットが得られるのだろうか? 年間約800万円の電気料金を約650万円にまで抑えることができたというのが八王子CCだ。といっても、同CCの場合は、最新の管理システムがもたらした効果だ。2年半前にクラブハウスを改築した際、ハウス全館のエアコンや照明を事務所で集中管理できるシステムに変更。併せて館内の冷房温度を以前より高めの28度に設定した。 「ただし、お風呂場はそれより低い26~27度に設定。また、お客様から要望があれば、こまめに応じるようにしています。電力消費はエアコン、なかでも冷房の時期が最大。ですから、夏場のコストを少しでも切り詰めることが大きなポイントですね」(総務担当者) そのため、同所では大きなガラス窓には断熱効果の高い特殊フィルムを貼り、室温の上昇を防いでいる。 また、風通しを利用するなどのコスト減らしの考えは、最近のクラブハウスにはあるが、バブル期に完成したお城のようなハウスにはほとんどなかった。広々とした吹き抜けの巨大な空間に冷房を行き渡らせるには1~2時間もかかり、膨大な電力を要する。 「正直、1日2~3組しか入らなかった頃には、雷雨にでもなって、全組キャンセルになればいいのに、と思ったこともありましたよ」と千葉県の某ゴルフ場の支配人。 それでもコストを少しでも下げたいというのが今のゴルフ場。実は、今回の東京電力の呼びかけに応じて(乗じて?)、エアコンと照明の一層の節電に踏み切ったゴルフ場がある。 「節電に協力する旨の断り書きを掲示(写真)して、お客様のご理解を仰ぎながらですが、照明を落とし、エアコンの設定温度も2~3度上げています。ただし、真夏に向かって、お客様から不便や不満の声が挙がれば応じていきます」と内情を語ってくれた。 また、24時間営業の某練習場も、これを機会に深夜の営業打席の見直し(一部クローズ)。あるいは、場内照明の自動点灯/消灯を手動に切り替えるなどで節電に乗り出した。 それにしても、ハウスに入った途端、効きすぎた冷房にヒヤッとした経験はないだろうか。松林を抜けた潮風が涼しさをもたらす大洗GC(82年改築)は、レストランに未だに冷房がない。 「さすがに昨今の温暖化で、若い方からは冷房設置の要望があります。でも、昔からのメンバーさんの間では、健康のためにはなくていいという声が根強いですね」(染谷寛支配人) 木をふんだんに使ったクラブハウス内は、また照明も控え目で、確かに暗いが落ち着いた雰囲気を醸し出している。 都心のオフィスで働いているワケじゃない。ゴルフ場における適度な照明および室温を考えるいい機会かもしれない。