週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
池田勇太は最終日を首位で迎えたが、5番ホールまでに2ボギー、2ダブルボギーとスコアを崩し、「あの段階で個人優勝はもう無理かなと思ったけれど、まだ団体戦の優勝の可能性は残っているわけだし、パートナーの諸藤君に迷惑をかけないためにも頑張ろうと気持ちを切り替えました」(池田) その後、13番から3連続バーディ、流れを完全に自分のほうに引き戻し、17番でトップに並び、18番でバーディを決めて見事優勝を勝ち取った。早速、今回の世界ジュニア優勝の成果を聞くと「自分が崩れたときに、まだ団体戦がある、自分ひとりでやってるわけじゃない、と思って気持ちを持ち直せたことは大きかったと思います」と精神面での成長を窺わせるコメントも。 金田久美子は最終日、4番でトップと4打差開いたが、「5打差になると追いつくのは難しくなると思い、目の前の一打一打に集中することを考えました」(金田) 気持ちを切り替えた直後、5番ですぐにバーディを奪取、最終的にはこの日4アンダーの68で回り逆転で優勝した。 「内容的にはOKパットの距離を4回も外すなど課題が残りました。また、ここのところずっと優勝を争ってきたタイの選手が今年は調子が悪く上位に来てなかったことで、少し気持ち的に油断みたいなものがあったかなと反省しています」と中学生ながら頼もしい。 歴代優勝者にタイガーやエルスといった現在のトッププロが名を連ねている大会で、日本人選手の健闘はこれまでにも目覚ましいものがあり、最も注目を集める15~17歳の部では今年の池田を含め、過去に5人の優勝者を輩出している。さらに今年の日本は個人戦と団体戦のダブル優勝という日本チーム史上初の快挙も成し遂げた。そして、金田久美子はこれまで9~10歳の部、11~12歳の部でも優勝をしており、今回の13~14歳の部の優勝で“3階級制覇”を達成。再来年に出場予定の15~17歳の部で優勝すれば全階級制覇の偉業達成となる。 さて、ジュニア世代における日本人選手の活躍は、このように目覚しいものがあるが、目をプロの世界に転じると、現在(7月20日時点)世界ランクの最上位はいつの間にか伊沢利光の58位と、世界から大きく水を空けられている。ジュニア世代では世界のトップクラスなのに、歳を重ねるにつれてレベルが落ちていくのはなぜなのか? テレビ解説者で、内外のゴルフ事情に詳しい川田太三氏はこう分析する。 「この構図はゴルフに限ったことではなく、基本的には野球もサッカーも同じ状況。原因は大きく分けて2つある。ひとつは、スポーツだけしていればいいという学生がいるのは日本を含め一部の国だけ。勉強の時間を割いてゴルフだけやっていれば、学生レベルの段階ではトップになれても、試合数が多くなるプロになると様々な試練に立ち向かわなければならなくなる。そういうギリギリの場面では技術力よりも、判断力や情報量といった全人格的なものの勝負になる。そんな場面では、ずっとゴルフだけやってきた選手は弱い。もうひとつは語学の壁。長谷川が大リーグであれほど活躍できるのは、英語で会話ができるので自然体でプレーができている、これが大きいのでは」 サッカーの中田英寿は将来のビジョンを見据え、英語はもとより会計士の資格取得をも視野に入れて学生時代から勉強をしていたという。ジュニアゴルファー諸君。ゴルフの技術のみならず、人間性を磨き、語学レッスンに励むべし!?