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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/12
2004年更新
伝統ある学生ゴルフ競技を中止に追い込んだ
浅間山噴火の「風評」に地元コースが困惑顔
今月1日の中規模な噴火以降、火山活動が続く浅間山。気象庁では引き続き火山活動度でレベル3(山頂火口で小~中規模噴火が発生する可能性がある)の火山情報を発表し、注意をうながしている(24日現在)。そのためだろうか、周囲のゴルフ場の中には、実際の火山被害よりも大きな「キャンセル」という被害が出ている。そんな折も折……。

 まずは、浅間山の周囲のゴルフ場に営業面での影響を聞いた。

「1日の噴火の直後にはかなりのキャンセルが出ましたが、最近はほとんど影響ありません。うちは、灰は余り降りませんので……」(浅間山の北に位置するパルコール嬬恋GC)という一方で、降灰のあったゴルフ場のなかには、「コースの一部で降灰の被害があったのですが、あるマスコミでまるでコース全体が灰を被ったかのように大げさに伝えられた影響が大きかったですね」とやや憤慨気味に語るところもあった。いわゆる風評の被害だろう、それがいまだに尾を引いているという。

 実際、北軽井沢のあるゴルフ場では直後の2日に、交通規制の影響もあり150人ものキャンセルがあったそうだ。

 今では、どのゴルフ場も「プレーに支障はない」と語る反面、過去に大爆発を起こした火山だけに、「絶対安全」とは言い切れない苦しい胸の内も伝わってきた。

 ゴルフ場にとっては、秋の観光シーズンで、コースコンディションも最もいい時期だけに、一刻も早い終息宣言が待たれる。ところが、その折も折、10月5日~8日、プレジデントCC軽井沢コースで予定されていた学生ゴルフの全国競技「朝日杯」(個人戦)と「信夫杯」(団体戦)の中止が先週の21日に報じられた。

 この大会、男子は50年もの伝統を誇るが、競技中止は今回が初めて。日本学生ゴルフ連盟のある関係者は、「伝統ある大会ということだけじゃなく、シーズン最後の大きな競技会だけに、非常に残念です。特に団体戦は他にない競技で、学生ゴルフに相応しい、母校の名誉をかけた大会なのでやらせたかった。しかし、万一の事態を考えれば致し方ないのでしょう」と残念がる。

 それ以上に悔しさをにじませるのが、当のゴルフ場側だ。

「1年も前から決まった大会で、しかも貸切ですから、営業で今からカバーできません。来ていただければ安全ということはお分かりいただけますが……。こればかりはどうしようもないのでしょうね」(平尾克弥総支配人)

 同氏が悔しがるのにはワケがあった。というのも、1日の中規模噴火の直後には、「中止」など開催に関する相談はなかった。それが、15日の小規模な噴火で事態が変わった。その日は風の影響であろう、東京でも一部で降灰が観測され、メディアで大きく取り上げられる事態となった。また、軽井沢の町も灰をかぶり、これもニュースで話題にされた。

「そのとき、うちにはほとんど降らなかったのですけど」(前出・平尾氏)という状況だったにもかかわらず、東京と軽井沢で降ったことが関係者の間に不安感を呼んだのだろうか。直後に「中止」に向けての相談があり、結局、中止に至ったというのだ。

 もちろん、東京の降灰がなかったとしても、火山活動度レベル3が継続する事態に「中止決定」はありえたのだろうが……。

 前出の学生連盟関係者は、「今回の中止が、ゴルフ場の営業に悪い影響を与えなければいいのですが……」と語るが、その思いは本誌も同じ。火山活動が止むのを祈るばかりである。

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