週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

　国内のプロ3団体、日本プロゴルフ協会（PGA）、日本ゴルフツアー機構（JGTO）、日本女子プロゴルフ協会（LPGA）は共同でこの春から、主に大人のコースデビューを推進する共同事業「ファースト・スウィング・チャレンジ・ゴルフ」を立ち上げることになった。

　詳細は3月の男女ツアー開幕前後に発表される見通しで、まだ概要しか明らかにされていないが、プロ3団体と全国のゴルフ場などが協力、本格コースデビュー前の大人をメインターゲット（経験や年齢など参加資格は設けない）に、男女プロのインストラクターが直接ゴルフ場でラウンドレッスンを行うプログラムを計画している。

「早朝や夕方、一般のプレーヤーのいないホールを借りて、プロのインストラクターが参加者（1組4人まで）と一緒に、3ホールでレッスンする企画です。コースデビューに対する不安を取り除くように、基本的な技術以外に、ルールやマナーを教えながらになりますから1時間ほどかかると思います。また、その前後にも練習場でのレッスンも行う予定です」というのは、この事業の実質的な推進役になっているPGA本部。

　もともとはPGAの長田力会長が、停滞の続く国内ゴルフ界を活性化させるため、以前から腹案として温めていた計画で、かねてからスポンサー候補企業に打診していたそうだ。

　その結果、良い感触を得た昨年6月頃から正式に立案し、ゴルフ場を含め関係者へ説明を始めた。

　ちなみにJGTOとLPGAのツアー部門に対しては、「参加者にトーナメント観戦してもらえるよう、大会会場での何らかの特典を用意してもらうつもりです。例えば、サインのプレゼントとか、一緒に写真撮影をするといった……」（PGA事務局）

　確かにコースデビューには、周囲の誰かに肩を押してもらうなどきっかけが必要である。しかも、コース上での不安を拭い去ってくれるケアがあると、より踏み出しやすい。そのきっかけをレッスンプロが手厚く面倒見てくれるというのは、心強い限りだ。また、後ろの組を気にせずプレーできる環境もありがたい。

　また、全国の多くのゴルフ場がこの活動に協力する見込みなので近場のコースで申し込める便利さもある。

　現在、実現化に向けて奔走している長田PGA会長は、

「年間10万人の参加者を目標に、全国のあらゆるゴルフ関係施設で呼び掛けたい。参加費は4000円程度なので、インストラクターやゴルフ場にはボランティア的な面もありますが、受講された方はいずれはユーザーとなって帰ってきます。大人の新しいゴルファーが増えることは、ジュニア以上に、ゴルフ界全体に大きな波及効果が望めます。不安？　不安はありません。2年前に同じようなラウンドレッスンを実施したことがあり、そのとき参加者からはいい反応を得てますから。また、今回は多少の試行錯誤をしながらでも、じっくり腰をすえ、長期的なプログラムにするつもりです」　と抱負を語る。

　長田会長によれば、参加者がコースデビューを果たした後も、参加者を集めたコンペを予定している。そこでは、例えばペアのチーム戦やプロアマの団体戦といった様々なゴルフの楽しみ方を提供、より深くゴルフに親しんでもらえるようにしたいという。

　これまでゴルフ界では「活性化」や「普及活動」といった言葉は盛んに飛び交ってきたが、ジュニア育成以外は、ゴルフ場やメーカーなどが個々に取り組んでいるのが現状。プロゴルフ界挙げての普及プログラムとしては、おそらくこれが初めての試みになるだろう。正式発表が待たれる。