宮里藍や横峯さくらといった19歳世代と同様に、有望選手層が厚い世代といえば、昨年日本女子アマを制した宮里美香(当時14歳)やゴルフ5レディスで不動裕理と最終日まで優勝争いを演じた金田久美子(同)ら、現15歳世代。4月から高校生になる「スーパー中学生たち」の気になる進学先は?
高校3年生のときに、女子ツアーで優勝を果たした宮里藍は、地元沖縄の中学から、仙台の東北高校(全国団体1位)へ進学。父・優氏の「親元を離れてこそ、成長する」という教育方針で、『県外進学』を決意した。また、横峯さくらも、鹿児島から高知・明徳義塾高校へ『県外進学』したように、地元を離れて全国有数のゴルフ校へ進学するジュニアが多い。
金田久美子も名古屋から福岡の沖学園(全国2位)を選んだ。「私の中学にはゴルフ部がなかったので練習も孤独。仲間と競い合うことで、成長できるのでは」と進路理由を話す。
藍を先輩に持つ東北高校2年の原江里菜(ナショナルチーム)も、「私は藍先輩の下でゴルフを勉強したいと、愛知から仙台に進学しました。藍先輩がアニカからメンタルや技術を学んだように、藍先輩から多くを学んでいます。今年も全国中学選手権で夏春を連覇した森桜子ちゃん(15)が茨城県から進学して来るので、私も後輩に何かを伝えられたら……」と実力者が集う高校への『県外進学』のメリットを説明する。
一方、藍と同じ沖縄出身の宮里美香は『県内進学』の道を選択。沖縄県が美香ら地元出身で実績のあるジュニアのために、興南高校を新設したからだ。
「他県の高校進学を考えた時期もありましたが、私の進学に合わせてゴルフ部に力を入れる高校ができたんです。奥行き250ヤードの広々とした練習場施設を持ち、放課後はハーフを無料で回れます。やはり沖縄のゴルフ環境は魅力的です」
じつは、『地元の宝』を他県に流出してなるものか、という県はほかにもある。新潟県もナショナルチームメンバーの若林舞衣子(15)の『引止め』を図った。
「私は東北高校が第1志望だったのですが、私たちのために、県が開志学園を新設してくれたんです。練習環境やトレーニング設備がとても充実しています」と若林は満足気に話す。
先月おかやま山陽高校を卒業したばかりの諸見里しのぶ(18)は、「メンタルなどゴルフに役立つカリキュラムを学べたこと、ひとり暮らしのような寮生活ができ、充実した高校生活を送ることができました。ただ、中学卒業当時に、沖縄にゴルフ環境が充実した高校があったら、地元に残るという選択肢もあったと思います」と、当時の進学理由を述べた。
美香や久美子の1年下で、この春中学3年生になる日本アマ準優勝の伊藤涼太(14)は1年先の進学を見据えて、三重県から福井県へ転校(福井工業大付属中)を決めた。他県ではあるが、家から車で3時間の距離にある学校だ。
父の秀昭氏は、「ゴルフに理解のある学校で学業もしっかり学べる。私も時間があるときには、気軽に涼太のスウィングをチェックできる距離です」と地の利を挙げた。
プロで活躍し、やがて世界で活躍したいという夢は同じ。宮里藍のように、10代で世界へ旅立つ環境は整っているようだ。
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