ほぼ固定したメンバーで転戦するゴルフツアーでは口コミの効果が高い。 「プロの愛用品なら使ってみたい」と考える一般ゴルファーへの影響も大きいだけに、新製品のプロモーションには格好の場。各メーカーがしのぎを削るクラブやボール以外にもツアーに持ち込まれる商品は多い。 ファイテンやリフトティーの次に注目されているのはソックスだ。
ファッションアイテムの一つと捉えられがちなソックスだが、機能を追求すればストロークを縮めることもできる。
「足が蒸れないので軽く感じる」 「バテにくく最後までショットに集中できる」
いま男女ツアーで流行の兆しを見せているのが、イタリア製のゴルフソックスだ。
昨年からツアーバスでサンプル品が支給されはじめると、口コミでじわじわと浸透し、現在では男女合わせて70名ものトッププロが愛用しているほか、キャディの間でも広まりを見せている。
イタリアと聞くとゴルフとは縁遠い印象を受けるが、この「エックスソックス」は繊維産業で欧州一の同国でなければ作れないハイテク靴下という触れ込みだ。
「部位ごとに最適な6種類の繊維を使い分ける凝った造りで、従来のスポーツソックスとは一線を画しています。もっとも大きな特徴は、トラバース・エアーフロー・チャネル・システムといわれる3本の溝。足裏の熱と湿気を効率よく逃がし、シューズ内の温度上昇を抑え、裸足に近い状態を保ちます」と話すのはエックスソックスを試供しているツアーバスの長瀬貞之シニアディレクターだ。
「18ホール歩いた後でも足の裏がさらっと乾いていて疲れを感じない」(城戸富貴)などその効果は多くのプロが認めている。
また、サポーターとしての機能も高いといわれている。
「ゴルフスウィング独特の足の動きやゴルフシューズの構造に合わせ、とくに負担がかかる部分にサポート機能を持たせてあります。商品名の由来ともなっているエックスクロスバンデージは、足首をしっかりとホールドし、スウィング時の足首のよじれを防いでくれます。また、フォローで右足をひねった時に靴ひもや金具が足の甲に当たるのを緩和するためにクッション材が取り付けられているほか、つま先や、かかと、アキレス腱部分にもプロテクターを装備し、衝撃や靴擦れから足首を守っています」(前出/長瀬氏)
これまでのソックスはゴルフ用といっても、せいぜい抗菌消臭効果を持たせる程度で、スポーツソックスの域を超えるものではなく、「ここまでゴルフに特化したソックスはなかった」(長瀬氏)
しかも機能一辺倒でなく、足首部分の長さが3種類用意されているところなど、ファッションの本場イタリア生まれらしい。
「新しいもの好きの多いプロゴルファーだが、エックスソックスに関してはリピーターが多く、サンプル品を試した選手が気に入って10足、20足とまとめ買いしてくれる」(長瀬氏)
メーカーからの無償提供ではなく、選手が自腹で購入してでも使いたいとなればその機能は本物といっていいだろう。
「ソックスの売れ筋は1000円から1200円程度。エックスソックスは2310円と2倍もしますが確実にリピーターが増えています」(三越日本橋本店/安藤真一氏)
まだ、大々的な宣伝も行われておらず、取扱店も限られているため、知る人ぞ知る存在だが、耳の速い一般ゴルファーの間でも徐々に広まり始めているようだ。
このほかにも最近では、シューズ内での足の滑りを抑える「トレッドグリップ」、銀イオンの抗菌力を利用した「銀の靴下」、吸放湿性にすぐれた「空調ソックス」(以上ブリヂストン)やさらりとした履き心地の「アイスタッチ」(ミズノ)などが人気を博している。
これまでゴルフ用品ではもっとも目立たない存在だったソックスが高い機能性を身に付けて、文字通り脚光を浴びつつある。
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