昨年の男子ツアーに続き、女子ツアーでもゴルフの根幹を揺るがす衝撃の不祥事が発覚した。日本女子プロゴルフ協会(LPGA 樋口久子会長)は昨年末の12月28日、滝浪愛(26歳)が、07年の出場権を賭けたセカンドQT(10月31~11月2日、茨城・ノースショアGC)第1ラウンドでスコアを改ざんしたとして、懲罰諮問委員会、臨時理事会を開催。全会一致で10年間の資格停止処分を決めた。
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改ざんの罪は重い(滝浪愛)
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9月には、男子の中西雅樹(22歳)が、日本オープン最終予選(8月、セントラルGC)でスコア改ざん事件を起こし、5年間のツアー出場停止と制裁金200万円という処分を受けているが、滝浪はこの騒動の後に不祥事を起こしたこともあり、さらに厳しい処分となった。
≪滝浪事件≫は、選手はもちろん関係者の間でジワジワと噂が広がっていたが、なかなか表面化しなかった。報道も、理事会直前に一部スポーツ紙に載ったのが初めてで、2カ月近くも世間の目に触れずにいたのはなぜか。
実は、その裏には、滝浪本人がなかなか改ざんの事実を認めないという事情があった。問題のスコアカードは第1ラウンドのもので、第2ラウンド終了後にこれに気がついたマーカーが指摘。
ところが、本人が改ざんを否定したため、LPGAは、とりあえず最終ラウンドをプレーさせた。その上でQTの競技失格を決めた。
だが、スコア改ざんとなれば、審判のいないゴルフと言うスポーツの根幹を揺るがす最悪の行為。放っておくわけにはいかない。LPGAはさらなる調査を強いられた。
本人に非を認めさせないことには、処分をするのも難しい。様々な過程を経て、滝浪がこれをようやく認めたのは、結局、12月22日のTPD(トーナメント・プレーヤーズ・ディビジョン)委員会に召喚された時のこと。「申し訳ない」と、謝罪したことで、ようやく処分ができたという訳だ。
中西に5年という処分が下った後、関係者の間で「反省しているとは思えない」「甘すぎる」と言う声が相次いだが、今度は10年。
中西の倍という期間だが、それでも除名には至らなかった。その理由を樋口会長は、資格剥奪資格停止10年という処分については「まだ若いし反省しているので」と説明したが、これには首を傾げる会員、関係者も多い。
何しろ、発覚直後から嘘を積み重ね、LPGAを振り回した結果、自分だけではなく女子プロ、さらにはプロゴルファーの評判を落とした罪は重い。潔く非を認めることなくこれだけ長い期間引っ張った人間が≪反省している≫とは到底思えないからだ。
事件を起こした上に、事態をここまで深刻化させたのは、滝浪の態度の悪質さからに他ならない。年末という時期の発表だったため、世間の注目度が低かったが、それでもスポンサーなどに対する女子プロのイメージダウンは避けられない。
男子とは違い、宮里藍を中心に盛り上がっていた女子ツアー人気に冷水をぶっかけたのは紛れも無い事実だ。プロゴルファーという、ファンや子供達に夢を与える職業にありながら、これをブチ壊したにもかかわらず、そのまま知らん顔を決め込む選手に、果たして10年後とは言え、復帰の可能性が必要だったのだろうか。
所属先である三協トラストは「もう出場できないので(所属契約は)自然消滅のようなもの。もう選手生命も……」と語ったのみにとどまった。
滝浪は、自分のしでかしたことの重みをしっかりと受け止め、本当ならファンに対して自ら謝罪するべきなのではないだろうか。
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