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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2/13号
2007/2/30更新
イノシシ被害甚大コース続出で
ゴルフ場のとった対策とは

 このところ日本各地でサルやクマなど、本来山奥に生息する野生動物が人里に現れ、農作物を荒らすといった被害が増えている。その最たる動物はイノシシで、平成17年度はなんと約49億円の被害をこうむっているほど。そのイノシシがいまゴルフ場でも大暴れしている。

 茨城県のスプリングフィルズGCでは、3年ほど前からしばしば見かけるようになったイノシシが昨年10月から芝を荒らし始めた。そのため、11月にはコースの外周をグルリと電気柵で囲む対策を取ることに。

「昨年、ミミズが異常繁殖したので、最初はそれを食べに来ていると思ったのですが……。でも、同じところが何度も掘り返されたり、ミミズのいないバンカーに暴れた跡があったり、どうもワケもなくイタズラしているだけで、ほっといたらいつまでも遊びに来ると判断。止むなく設置することにしました」(広沢勉支配人)

 電気柵は数本の電線に弱い電量を流すもので、人間が触ってもショックはないが、イノシシが湿った鼻で触れると強い衝撃を受け、近寄らなくなる仕掛け。実際、同GCでも、設置以降は姿を見かけなくなったそうだ。

 近くの筑波学園GCでも、一昨年暮から見かけるようになったイノシシに、昨年の春以降、芝が荒らされる被害が頻発。そのため、こちらは5月に外周の約8キロを電気柵で囲む工事を行った。「工事費は250万~300万円でした」

 茨城県猟友会に問い合わせると、「イノシシの出没は、場所にかたよりがありますが、確かに増えています。最近では、観光客の多い水戸森林公園(水戸駅から約10キロ)にも出没しています」と、被害が出ないよう警戒しているところだという。

 関東のゴルフ場では、神奈川県の山間部にあるゴルフ場では昔からイノシシがよく見かけられた。

「最近は湯元や仙石の近くのゴルフ場で被害が出ています。この地域では、明らかに固体数が増えているようです」(箱根町産業施設課)

 昨年からは、山梨県でもイノシシの出没に戦々恐々とするゴルフ場が増えている。

「うちもこの冬、6~7年ぶりにイノシシが出ました」と語るのは、ヴィンテージGCの山田守郎総支配人(県支配人会会長)だ。

 幸い同GCでは「地中にミミズかいなかったみたいで」(山田氏)、芝が掘り返されることはなかったが、県内には一晩で100メートル四方にわたり芝が荒らされたゴルフ場があったそうだ。

 全国的にイノシシが人里に現れる件数が増えている理由だが、人間と野生動物の緩衝地帯であった里山が荒廃して、山と耕作地が隣接する環境になったため。

 あるいは、山間部の開発により餌場が狭くなったため。反対に、餌が多く、繁殖しすぎたため等々、さまざまな理由が挙げられている。

 だが、全国的に猟師の高齢化が進み、駆除対策が計画通り進まないため、適正な個体数のバランスが崩れたからという指摘は多い。

 狩猟免許を持つあるゴルフ場関係者は「猟銃を持たれることを心配するあまり、狩猟免許の取得・更新の手続きが細かすぎる。全く関係ない交通違反などの履歴まで徹底的に調べられるから、若い人は嫌になって取ろうとしない」と、猟師が減る一方の背景にある行政の問題を口にする。

 最近はイノシシに限らずサルや鹿による農作物被害が広がっている。これについても根本的解決策が見えない限り、ゴルフ場だっていつまでも無縁ではいられないだろう。

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