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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/10号
2007/3/29更新
浮世離れの第3セク経営・小諸高原GC、
なんと6000円で民間に売却

 長野県と小諸市などが出資する第3セクター方式で、小諸高原ゴルフコースを運営する浅間高原観光開発が、先週、民間企業に株式譲渡されることが決まった。その売却価格、なんと6000円。今どきの平日プレーフィ並の金額だ。この準公営のゴルフ場がタダ同然で売り払われることになるまでの経緯とは一体何だったのだろう。

 浅間高原観光開発は86年に長野県と県の外郭団体である地域開発公団と小諸市がほとんどを出資(他に地元金融機関も出資)して設立された第3セクターで、89年に小諸高原ゴルフコースを開業した。

 同GCは、当初は年7億円以上の売り上げがあったが、最近は2億5000万円程度にまで激減。95年度からは赤字経営が続き、05年度には債務免除を受けるなど、実質債務超過に陥っていた。

 そこで昨年は、新たに預託金額25万円で個人会員を募集するなど、経営の改善を図っていた。ところが、昨年の暮、当てにしていた地元金融機関からの追加融資が打ち切られることになった。

「このままでは、この3月にも運転資金がショートすることになるので、急遽、以前から経営譲渡の相談を受けていた渡辺パイプさんへの売却を申し入れました。入札でより高く売却という話も考えたのですが、実質債務超過の会社ですから、まともな応札は無理でしょうから」(同企業局)

 渡辺パイプというのは、東京に本社のある水道管や住宅資材の卸会社で、小諸市に隣接する群馬県嬬恋村で30年前からアサマ2000パークというスキー場を経営。行政上、以前から同市との関係も深かった。

「2年前にも1度打診を受けたのですが、今回は当社が引き受けなければ(ゴルフ場が)立ちいかない状況でしたから」(渡辺パイプ・経営企画ユニット担当者)

 そこで譲渡の内容だが、県と市は、浅間高原観光開発の従業員の雇用と、約7億4000万円にのぼる預託金の全額保護を条件に、渡辺パイプに対し、県と公団が持つ浅間高原観光開発株と債権の合計約3億4000万円を4000円で。

 また小諸市も、同じく同株と債権の合計約4億円を2000円で売却するというもの。つまり、計7億4000万円余の株式と債権をわずか6000円で売却する。

 でも、どうして6000円なのか。
「引き取ってもらうのですから、タダでも良かったのですが、会計処理上、薄価として残すにはこれが最低金額ですから」(県企業局)

 これは「備忘価格」と呼ばれるもので、これより小さな金額では薄外となって資産としての存在が不明になるため、このようにほぼ無償で譲渡する場合は、帳簿に残る最低額が根付けされる

 その最低金額が同県と市では「1000円」で、県が所有していた株式を1000円、同債権を1000円。残る公団と市も同様、株式と債権を各1000円とした結果の計6000円ということのようだ。

 それにしても、もとは公的な財産のゴルフ場。タダ同然で譲って投げ出す前に、何か手立てはなかったのだろうか。

「第3セクターのゴルフ場は、まさしくお役所仕事で、サービス産業としての常識を知らないところが多いですね」と嘆くのは、ゴルフ場の経営指導に当たる日本ゴルフ場経営総合研究所の降旗貞夫専務理事。

 降旗氏によれば、例えばゴルフ場支配人の平均年収が600万円前後の今どきに、1100万円も支払っている第3セクターがあるそうだ。

 そして、今回の小諸高原GCについても、「おそらく浮世離れした経営の結果の6000円なのでは?」と手厳しい。こうなったら、民間のまっとうな経営努力で第3セクター経営の至らなさを示してもらうしかない!?

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